第14章 我儘な総長は照れ屋な彼女が愛おしい
マイキーのバイクで海にやって来たカノトは太陽の光で反射する水面を見て目を輝かせた。
「キラキラ光ってて綺麗!」
石段を下りて砂を踏む。
「サンダルじゃなくて良かったな。オマエ絶対砂に足取られて転んでただろ」
「転びませんよ!?」
「いや、想像できる。転んだカノをオレが手を引っ張って立たせんの」
「(何故か想像できてしまった…)」
「だから手、繋ご」
「転ばないようにですか?」
「それもあるけど…単純にオレがカノと繋いで歩きたいだけ」
「!」
「いい?」
「はい」
差し出された手を取り、二人は仲良く海辺を歩き始める。
「マイキーくん、海来たことありますか?」
「中一ん時にな。ケンチンと三ツ谷とパーちんと場地と一虎と一緒にツーリングで海に行ったんだ」
「!」
「でも途中でオレのホーク丸…あ、前の愛機ね。それがガス欠してさ。東卍の一大事だからジャンケンして負けた場地がガススタまで運んだんだ」
「マイキーくんの愛機なんですよね?なのにジャンケンで負けた場地さんがわざわざガススタまで押して行ったんですか?」
「東卍の一大事だったからな!」
「(わぁ理不尽。ジャンケンで負けた場地さんかわいそー…)」
「…………」
その頃を思い出したのか、マイキーは目を伏せ、どこか切なげに笑っている。
「(その後くらいだったよね。羽宮くんと場地さんが真一郎さんのバイク屋に忍び込んだのって…)」
その話を振ったからか、マイキーは黙り込んでしまった。慌てたカノトはなんとか話題を逸らそうと必死に頭を回転させる。
「あ!そう言えば知ってますかマイキーくん!」
「?」
「浜辺に落ちている桜色の貝を見つけると幸運が訪れるらしいんです。ただ薄くて割れやすいので完全な形になっている桜貝を見つけるのは至難の業らしくて…。もし見つけられたらすごく奇跡に近いですよね!」
「貝に色ついてんの?」
「淡いピンク色です。それをピアスや髪飾りの材料にしている人もいるみたいなんですよ。あとはお守りとしても身に付けてる人もいるみたいです」
「ふーん…」
するとマイキーはその場にしゃがみ込んだ。
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