第14章 我儘な総長は照れ屋な彼女が愛おしい
「最近オマエ不足だから、たくさん触れたいし、たくさんちゅーもしたいのに…」
「!」
「そんなにダメダメ言われたら傷付く…」
「(うっ…落ち込んでる。)」
「てっきりオマエもオレと同じ気持ちだと思ってたのに…違うの?」
「それは…」
「オレにたくさん触れて、たくさんちゅーしたいって、思ってくんねぇの…?」
マイキーはしゅんと落ち込む。
「(私だって…同じ気持ちに決まってる。)」
たくさん触れたいし
たくさんキスもしてほしい
「(あいつに奪われた唇の感触を…今すぐに消してほしい。)」
半間に強引に重ねられた口付け。逃げたくても両手を拘束され、助けを呼びたくても呼ばせてくれなかった。
「(あの男が私を諦めるなんてあり得ないのに…まんまと騙された。ケーキに薬を混ぜたのも…優しい言葉を投げ掛けたのも…全部、私を手に入れる為の演技だった。)」
今でも思い出すと怒りと悔しさが込み上げ、どうにかなってしまいそうだ。
何より許せなかったのは…マイキーとのキスを上書きするように何度も強引に重ねられた口付けだ。
「(だからもう一度、上書きしてほしい。あいつのキスなんて…全部消して、マイキーくんのキスで私を変えて───。)」
繋がれたままの手にキュッと力を込め、マイキーを見る。
「私だって…マイキーくんにたくさん触れたいし、キスも…したいって思ってますよ。だからこれからも、たくさん好きって言って、ずっと傍にいてくださいね…?」
「っ………。あ、のさ…今からそういう可愛いこと言われると…色々やばいから。ホント…勘弁して…」
「え?」
見るとマイキーの顔が赤くなっている。
「ベッドに押し倒してキスできねーじゃん…。つーかオレの理性も煽るのやめて。ほんと崩れたら襲うからな」
「!」
「まぁカノが襲ってほしいって言うなら、遠慮なく襲わせてもらうけど?」
「き、気をつけます…」
ニコッと笑うマイキーにダラダラと冷や汗を流し、なるべく理性だけは崩さないようにしようと思った。
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