第14章 我儘な総長は照れ屋な彼女が愛おしい
「照れてる〜♥」
「照れてません!」
「可愛いからちゅーしていい?」
「ダメです」
人差し指同士を交差させてバッテンを作り、それを口元に当てる。
「(その反応が可愛いって、何で分かんねーんだろ。イタズラしちゃお。)」
むぅ〜っと顔をしかめてキスを警戒するカノトにクスッと笑い、バイクから少し身を乗り出して、顔を近付けると、バッテンしている指にチュッと唇を軽く押し当てた。
「!!」
案の定、カノトは驚いて目を見開いた。顔を離したマイキーがぺろっと舌を覗かせ、悪戯が成功した子供みたいに笑った。
「しちゃった♥」
「っ〜〜〜!!!」
ぶわっと一気に顔が火照った。ぱくぱくと口を開閉させ、言葉を失っていると、それが可笑しいのか、マイキーが笑う。
「はは!顔真っ赤!口もパクパクさせて金魚みてぇ〜!」
「誰のせいでこうなってると思ってるんですか!!こんな…家の前で!!誰かに見られたら恥ずかしいでしょう!?」
「カノが可愛いことするからじゃん」
「な…んですかそれ!」
「そっか〜無自覚かぁ〜」
「もうマイキーくん…誰かに見られたら完全に誤解されちゃうじゃないですか。男同士が何イチャついてんだって思われますよ」
「別に見せつけてやればいいじゃん。見られて困る事でもないだろ」
「困るから言ってるんです!!もしキスされてるところなんて見られたら…ご近所さんになんて思われるか!!」
「……………」
「恥ずかしくて外出れない!!……って、聞いてますか?マイキーくん」
こっちが真剣に悩んでいると云うのに、マイキーは何やら難しい顔をしている。
「マイキーくん?」
「やっぱ唇にちゅーしたい」
「は?」
「なぁ、今度は唇にちゅーしてい?」
「今の話聞いてませんね!?ダメに決まってます!!」
「軽くちゅってするだけ」
「絶対"軽く"じゃ済まないでしょう」
「じゃあ普通にちゅーさせて!」
「大きな声出さないでください…!」
"なぁなぁ"と手を繋がれ、キスをせがまれる。"誰かに見られると恥ずかしいのでダメです"とキッパリ断ると、マイキーはむ〜っと頬を膨らませてカノトを見た。
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