第14章 我儘な総長は照れ屋な彼女が愛おしい
窓からマンションの下を覗けば、バイクに跨ったマイキーがカノトが出て来るのを待っていて、マドカは不愉快そうに顔をしかめる。
「……………」
マドカはマイキーの顔をじっと見る。その顔にかつての"親友"の面影を重ねた。
『なぁマドカ。オレとオマエは住む世界も歩んできた道も違う。それでもオレの親友でいてくれてありがとな。オマエに出会えて良かった。』
「……………」
『オマエがまだ見た事もねェようないろんな世界をオレが見せてやるから楽しみにしとけよ!』
「…真一郎」
記憶の中の彼は笑っていた。懐かしい友の名を悲しげに呼び、マドカは窓から離れた。
✤ ✤ ✤
「マイキーくん!」
マンションのエントランスを出るとマイキーの姿を見つける。するとマイキーが着ている服に見覚えがあり、パァッと嬉しげに笑うと名前を呼んで駆け出す。
「そんなに走ると転ぶぞ」
「その服!」
「ん?あぁ、カノが前にショッピングモールでオレの服選んでくれただろ?それ着てきた。えーと…これ何系だっけ?」
「アメカジ系です!」
「そうそれ」
「やっぱり凄く似合いますね!」
「当たり前じゃん。オマエがオレに選んでくれた服なのに、似合わないはずねーし」
「ふふ」
「なぁに。惚れ直した?」
「はい!」
「いっつも即答すんね」
元気よく返事をするとマイキーは可笑しそうに笑った。
「(あぁ、ホントかっこいい。)」
「じーっと見すぎ」
「!」
「それってカノの癖だよなー。オレのことじっと見つめんの。でも仕方ないか。カノは見惚れちゃうほど、オレが好きなんだもんなー?」
ニヤニヤと笑うマイキーの言葉にカノトは恥ずかしくなって頬を染める。
「マイキーくんだって…」
「オレが、なぁに?」
「私の事、好きじゃないですか…」
「うん、好き。24時間ずっと見つめてたいくらい、すげー大好き。」
「それは見すぎじゃ…」
照れさせてやろうと反撃すれば、逆にストレートな告白をして来たマイキーの言葉にまたもや恥ずかしくなって照れてしまう。
.