第14章 我儘な総長は照れ屋な彼女が愛おしい
《マイキー君とデートする事になったぁ!?》
「声が大きいよタケミチくん」
《え!?どういう事!?マイキー君オマエが女だって知ってんの!?》
「なりゆきで…」
《どんななりゆき!?》
「まぁ細かい事は気にしない♪」
《…やっぱカノちゃん、一虎君が言ったようにちょっと抜けてるとこあるよな。》
「失礼な!」
一虎に同情するタケミチに怒る。
「ところでさ…こっちに来る時、タケミチくんが近くにいなかったのにも関わらず、私も一緒にタイムリープしたけど…条件満たしてないのに何でだろうね?」
《うーん…同じ建物内にいたし、それが"近く"で認識されたのかもな。だから離れた場所にいても、カノちゃんも一緒にタイムリープできちまったんじゃねェかな。》
「なるほど!」
コンコンッ
「カノ、入ってもいいか?」
「ごめん兄さんだ。また連絡する!」
《マイキー君とのデート、楽しめよ!》
「うん!」
電話を切り、部屋の外で待つマドカに"いいよー"と声を掛ける。それを聞いたマドカはドアを開け、部屋に入った。
「お?どっか出かけんの?」
普段よりお洒落しているカノトの格好にマドカは不思議そうな顔をする。
「うん。帰り、遅くなるようなら連絡する」
「夜遅いし危ねぇから迎えに行く」
「大丈夫。ちゃんと送ってもらうから。兄さんは家でゆっくりしてて」
「送ってもらうって…誰に?」
「んー…私が信頼している人に」
「それって…もしかして祭りの時に会うって言ってた奴?」
「そうだよ」
「……………」
マドカは複雑そうに眉を顰める。
「なぁカノ。そいつって…」
ピロン♪
「あ!着いたみたい!もう行くね!」
「カノ」
「何?」
マイキーから"下で待ってる"とメールを貰い、嬉しそうな顔で部屋を出て行こうとしたカノトをマドカは引き留める。
「あんまり遅くならないように」
「わかってる!じゃあ行ってきます…!」
カノトが部屋から出て行き、玄関の扉が閉まる音が聞こえた。
.