第2章 無敵のマイキー
「オイ…」
タケミチを連れて離れようとしたヒナの腕をドラケンがガシッと掴んだ。
「殺すぞ、ガキ。いきなりぶん殴ってハイ、サヨナラ?ふざけんなよコラ」
「ふざけてるのはどっちですか?」
「あ……?」
「他校に勝手に入ってきて、無理矢理連れ去るのは友達のする事じゃありません。最近のタケミチ君ケガばっかり。もし、それがアナタ達のせいなら、私が許しません」
ヒナの必死の勇気を感じ取ったカノトはドラケンに近付き、ヒナを掴んでいる手を掴む。
「彼女の手を離してください」
「……………」
「女の子を怯えさせる男は嫌われますよ。彼女は僕の友達です。もし傷付けるなら…絶対に許さない」
「…テメェのその細腕でオレに適うと思ってんのかよ?あぁ?」
「友達の為なら命だって張れる。友達を見捨てる奴はクズ以下だ」
その言葉にドラケンは微かに目を見開く。
ガシッ
「あ?」
今度はタケミチがドラケンの肩を掴む。
「その手を離せ…」
「何言ってんのか聞こえねーよ」
「その手ぇ離せって言ったんだよ!!バカ野郎!!」
「テメー誰に向かって口きいてんだ!?」
「もう二度と譲れねぇモンがあんだよ」
「は?二度と?」
「あーあ、せっかくダチになれると思ったのにザンネン♥」
マイキーがこちらを見る。
「さて、どうやって死にてぇ?」
ゾクッ
「二度と人前に立てねぇーツラにしてやるよ」
冷たい目と低い声を向けたマイキーが近寄ってくるのをカノトはタケミチを守るために前に出る。
「カノト!?」
「彼に何かしたら貴方を許さない」
内心では怖くて怖くて堪らない。相手は暴走族のトップで、しかも無敵と恐れられる男。それでもカノトは引かなかった。
「一つだけ約束しろや」
「ん?」
今度はタケミチがカノトの前に出る。
「ヒナには絶っ対ぇ手ぇ出すなよ」
「は?知らねーよ」
マイキーの拳が振りかざされる。
「うっ」
「タケミチくん!!」
タケミチはギュッと目を瞑った。
「なーんてね」
「……へ?」
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