第13章 夢で会えたら
思わず"構ってちゃんか!!"とツッコミを入れたくなるほどのメールの量に驚きながらも、急いで返信しようとしたが…
「みゃーむら君〜!」
「あ、はい!今行きます!」
結局マイキーに返信する時間がなく、めぐたんに呼ばれたカノトはそのまま部屋を出た。
✤ ✤ ✤
接客を始めて数分経った頃────。
「お兄さんかっこいい!彼女いるの?」
「いえ…彼女はいませんよ」
「えー!いないんだぁ〜!」
「ねえねえ!連絡先交換しようよ!」
「お客様、オーダーの方を…」
「はいはい!彼氏募集中です!」
「(何でこうなるんだろうか…)」
案の定、女性客に声を掛けられまくりのカノト。上手く交わしてやり過ごすも、また別の女性客のオーダーと称した質問責めに捕まってしまう。
「(接客してるの私だけじゃないよね!?だってあっちに暇そうにしてるスタッフさんいるもん!!お願いだから代わって…!?)」
なんとかオーダーを聞き出し、それをキッチンの人に伝えると、そそくさと身を潜めた。
「みゃーむら君何してるの〜?」
「接客がこんなに怖いなんて知りませんでした…」
「ほとんどの女性のお客さんみーんなみゃーむら君目当てだよね〜。やっぱり顔が良いんだね♪めぐがさっきオーダー取りに行ったら、オーダーはあのイケメン君がいいって追い返されちゃったよぉ〜」
「そうだったんですか?」
「ホント失礼しちゃうよねぇ?…まあ、女にモテても全然嬉しくないけど。」
「(一瞬、彼女の本性が垣間見えた気がした…)」
きゅるんモードのめぐたんが冷めた目で女性客を見ながらスッと真顔になり、自分の接客に不満でもあんのかコラ、的な空気を漂わせ、普段の猫なで声も一瞬にして低くなった。
「いらっしゃいませー」
「あ!お客様来たよみゃーむら君!めぐキッチンに行ってるからオーダーよろしくね!」
片手を上げながらキッチンに引っ込んだめぐたんを見送り、気持ちを切り替えてオーダーを聞きに行こうとした。
「腹減ったー」
「席空いてて良かったな」
「!(この声……)」
聞き覚えのある声がして、コソッと壁の隙間から顔を覗かせる。
.