第13章 夢で会えたら
2005年───過去。
「頼むって宮村!!このとーり!!」
パンッと両手を合わせて頭を下げる友人の突然の行動を前にして、目を見開いた。
「…何の話?」
「ハァ!?今の聞いてたんじゃねーの!?」
「ごめん…あんまり聞いてなかった」
「だから!!"めぐたん"が働いてる店が人手不足でやべーからお前代わりに行って来んねぇかって言ったんだよ!!」
「は?」
めぐたん…?
「まさか…まだ彼女と続いてるの?」
「あったり前だろ!どうせお前の事だから俺が騙されて一方的に捨てられるって思ってたんだろ?」
「まぁ…別れるとは思ったよ」
「チッチッチ。甘いぜ宮村よ。俺のモテ期は未だ継続中だ。こうして運命の人・めぐたんともお付き合いが良好に続いている。やっぱりいいな…カノジョ。」
にへらーっと締りのない顔で笑う。
「それは良かったね」
「おう!でさ…話を元に戻すんだけどよ、めぐたんが困ってんだよ。急に休みになった奴がいて、代わりに出てくれる奴探してるらしいんだけど…お前に行ってほしいんだ!」
「え?普通にやだけど。」
「即答しないでもう少し考えて!?」
「何で僕が休んだ人のヘルプで代わりに働かなきゃいけないの。そもそも中学生でバイトは禁止されてるはずでしょ」
「それがめぐたんの店、超ゆるゆるで、中学生でも雇ってくれるらしいんだよ。だから大丈夫だって!心配すんな!」
「(いや全然大丈夫じゃないし。)」
「めぐたん困ってんだよ〜」
「だからって何で僕が…」
「イケメンじゃなきゃやだって…」
「僕以上にかっこいい人いるよ」
「お前がこの学校で一番のイケメンじゃん」
急に真顔になった友人が"何言ってんの?"みたいな目で見てきた。
「モデル顔負けのルックスで、頭も良い。更に加えて性格も文句なし!だからこそ、世の女達はお前にめろんめろんになるのだ」
「めろんめろんって…」
「一生の頼みだ!!引き受けてくれ!!」
「………。はぁ…しょうがないな。」
「!!」
「今回だけだからね」
「マジで助かるよ宮村!!」
こうしてめぐたんの店でヘルプとして働く事になったカノトだった。
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