第13章 夢で会えたら
「待ってよナオトくん!!タケミチくんが逮捕って…何かの間違いでしょ!?」
「間違いではありません」
ふざけているわけでもなく、誤認逮捕というわけでもなく、本当にナオトはタケミチを逮捕したのだ。
そして彼は…カノにも言う。
「宮村心叶さん。貴女にもお話を伺いたいので、ご同行願います。」
「カノちゃんまで…!?」
「ナオトくん…」
「待ってくれよナオト!!コイツは関係ねーだろ!?」
「それを決めるのは君じゃない」
「!!」
「…いいよ、分かった。一緒に行く。そこでもう一度、私と話そう」
カノはタケミチと共に警察署へと向かった。
✤ ✤ ✤
「(…遅いなぁ。ナオトくんがタケミチくんを連れて行ってから…何分経ったんだろ。)」
警察署に着いた途端、"カノさんからは後で話を伺いに行きますのであちらに座って待っていてください"とナオトから言われ、別室で待たされていた。
退屈だと感じながら、ナオトが来るのを一人で待ち侘びる。
「…この部屋、静かだな。まるで…私の家みたい」
兄のマドカがいなくなった日から、その家から笑い声が消えた。朝の『おはよう』も、夜の『おやすみ』も、食事の時の『いただきます』も食べ終わった後の『ごちそうさま』も。昔はマドカがいたから、楽しいと思えた家の中の生活も、今じゃ静か過ぎて何も楽しいとさえ思わない。
「…本当に兄さんが全てだったんだな。それなのに、あの日…」
私を残して、死んでしまった
「……………」
マドカがこの世界からいなくなった日から、カノは眠れない日々が続いていた。兄を失くしたショックからか、寝ようと思っても気持ち良く安眠ができないのだ。だからうっすらと隈もできる。
「神様は残酷だ」
理不尽に引っ掻き回す神を嘲笑った。
「マイキーくんに…会いたいな」
何故か無性に会いたくなった。
その時…
チリンー…
「!」
鈴の音が頭の中で響いた。
「(これは…タケミチくんがナオトくんと握手した時の合図。でも彼の近くにいないのにどうして私も一緒に…?)」
不思議に思いながらカノは意識を手放した…。
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