第13章 夢で会えたら
「ある日、稀咲に殺された女の弟と名乗る刑事がオレらに接触してきた」
『復讐がしたい』
「(ナオトだ!!!)」
「(きっとナオトくんだね。)」
「え!?千冬と…その刑事は繋がってたんですか?」
「ああ。"橘ヒナタ殺害事件"は稀咲の命令だ。あの事件、覚えているだろう?」
「東卍構成員の千堂くんが車ごと、ヒナちゃんの乗った車に突っ込んで、大炎上。二人共死んでしまった事件…。あれは…忘れられないよ」
「稀咲にはアリバイがあった。あの日、稀咲はオマエら幹部と集会をしていた」
「(え?オレらと集会!?って事は、この世界でオレはヒナとアッくんが死んだ時、その場にいなかったのか!?)」
「だが千冬は証拠を摑んでいた」
「……………」
「稀咲が命令を下したという証拠をな!」
「!!」
「千冬たちは本当にあと一歩の所まで稀咲を追い詰めた。あと一歩の所で逃したのは千冬の所為だった」
「!?」
「千冬くんの…?どうして?」
「アイツが何故か最後の最後で、証拠を隠したからだ」
「え?」
「証拠を隠したって…」
「降りろ、タケミチ、カノト。その路地裏に会わせたい奴がいる」
「オレらに?」
人気のない場所に停車した車を降りる。狭い路地裏をタケミチと共に進んでいくと…。
「ナオト!!」
「ナオトくん!!」
2人して嬉しそうな顔を浮かべる。気付いたナオトもこちらに歩いて来る。
「待ってましたよ、タケミチ君、カノさん」
次の瞬間、タケミチの両手に手錠が嵌められた。
「え?」
「っ!?ナオトくん!?これは一体どういう事なの…!?」
すると前もって隠れていたナオト以外の他の刑事もぞろぞろと姿を現す。
「花垣武道!!午前7時38分、逮捕します!!!」
タケミチの両手に嵌められた手錠を見てカノは驚きのあまり絶句している。
「すいません羽宮君」
「…テメェ」
一虎も知らなかったのか、ナオトの行動に驚いた顔を浮かべている。
「逮捕…?」
「残念です、タケミチ君」
「ナオト…なんで…?」
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