第13章 夢で会えたら
「協力してくれタケミチ。今度は俺がマイキーを…佐野万次郎を救いたい」
「それ、私にも協力させて、羽宮くん」
「!」
「カノト…起きてたのか?」
「"今起きた"」
窓に付けていた頭を離し、体勢を整えて、にこりと笑う。二人は心配そうな顔をしていたが、"大丈夫"と言って話を進める。
「私もマイキーくんを救いたい。あの人が間違った道に進んでいるなら、私がダメだよって言って叱ってあげないと。絶対にマイキーくんを独りにしない」
そう、場地さんと約束した
マイキーくんが堕ちそうになったら
手を差し伸べるって。
もし堕ちても、ちゃんと戻って来られるように
手を握っててあげるって。
マイキーくんが
道に迷わず私のところにちゃんと
帰ってこられるように
「だからお願い。私にも協力させて。決して二人の足手まといにだけはならないから」
「……………」
「カノちゃん…」
「…分かった」
「!」
「けど…無茶だけはすんな。オマエに怪我でもされたら…俺が困る」
「うん…気をつけるよ」
「カノトは抜けてるからなー」
「羽宮くんひどい…」
"冗談だから膨れんな"とバックミラー越しに一虎は可笑しそうに笑った。
「(…一虎君、やっぱりまだコイツの事…)」
そこまで思って、すぐに頭の中から消した。
「マイキーの左腕である"元黒龍組"。アイツらはオレと深い因縁がある」
「因縁?」
「"元黒龍組"の原型は十一代目黒龍。東卍結成前、オレが揉めていた暴走族だ。強請り、脅し、殺人。金の為ならなんでもアリの連中だ」
「最悪じゃんね」
「こいつらの生み出す莫大な金が、マイキーを狂わしている一つだ。オレのツテで奴らの隠し口座を突き止めた。金の流れを断ち、決着をつけるつもりだ」
「隠し口座…」
「そして右腕である稀咲と決着をつけようとしていたのは千冬だった。千冬が殺されたのは稀咲を追い詰めていたからだ」
「え!?」
「稀咲を追い詰めた!?」
「あぁ」
「どうやって…あの稀咲を追い詰めたんですか?」
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