第2章 無敵のマイキー
「でも今授業中で…」
「そんなのいいじゃん。早く早く!」
「え、ちょっと…!」
グイッと腕を引かれ、強引に教室から連れ出される。廊下を見ると何故か3年生がノびていた。
「えー…何これ」
「なんかムカつくから全員ノしたらしいよ、ドラケン君が」
「ムカつくだけでこの有様…」
ひえっと顔を引くつかせる。
「オマエら全員ここ並べー」
「え?」
「うつぶせで」
「何が始まるんだろ…?」
「さぁ……」
二人はうつ伏せになった3年生を不思議そうに見ている。
「おいおい離れすぎだよ。痛ぇのはオマエらだよ?」
「え?」
するとマイキーとドラケンが3年生の背中を踏みつけてその道を歩き出す。
「おふっ」
「ぎゃふっ」
「(痛そう…)」
「神泉でUSGが幅利かせてるらしーよ」
「いーじゃん。ぶっ飛ばしにいこうよ」
東京卍會のトップはやっぱりイカれている。彼らにとって人を甚振るのは日常。顔を洗うくらいのことなのだろう。
「元気してた?」
「昨日の今日っスよ」
「今日ヒマだろ?」
「いやっ…そうでもないっス」
「カノはヒマ?」
「ヒマではないですけど…」
「真面目に勉強しても頭良くなる訳じゃないんだし、たまには息抜きしよーよ」
「えぇっと…」
ニコッと笑みを向けられ、断ろうにも断りづらくなり、何も言えなかった。
「ちょっと待って!」
「ヒナちゃん…?」
「あン?誰だオマエ?」
そこに現れたヒナはドラケンの質問を無視し、つかつかと歩いてくる。
「ごめんヒナ…今日立て込んでてさ」
バチン!
「(え…ええええー!!?)」
「(ヒナさぁん!!?なにやってくれてんの!!?)」
マイキーの目の前で止まったヒナは片手を振り上げ、強烈な張り手を食らわせた。驚いて心の中で叫ぶ二人とは逆に、ドラケンの米神にピキっと青筋が浮かんだ。
「タケミチ君、行こう!」
「え?」
「こんな人たちの言いなりになっちゃダメだよ。ヒナが守ってあげる」
「!ヒナ」
タケミチはヒナの手が震えることに気づいた。
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