第2章 無敵のマイキー
「別に教えなかった訳じゃないけどさ…」
「ん?」
「もしヒナがコイツを好きになっちまったら…」
「(おやおや?)」
「も、もぉ〜何言ってるのタケミチ君!確かにカノト君はカッコイイけど。ヒナはタケミチ君が好きなんだよ?」
「ヒナ…!」
「ヤキモチですかタケミチくん」
「うるせぇ!イケメンのくせに!」
「僻まない僻まない」
「僻んでねーわ!」
「二人を見てると幸せな気持ちになるよ。さて…邪魔しちゃ悪いし、先に行くね」
二人と別れて教室へと向かう。その途中で女子生徒達から声を掛けられ、ニコッと笑って返事を返すと所々から黄色い悲鳴が上がる。
その様子を教室のドアから顔半分を出し、ジト目で見ていた例のクラスメイトが恨めしげにカノトに言う。
「相変わらずモテまくりだな。別に羨ましいとか思ってないぞ。これっぽっちもな」
「何も言ってないけど」
「うっとりとした顔でオマエを見つめるあの女子達を見ろ。完全に目がハートになってんじゃねーか」
「目がハートになってたら怖いよ」
「マジレスすんな!オマエにはモテない男の気持ちなんて分かんねーんだ!うわああん!」
悔しげに泣くクラスメイトは教室の中へと引っ込んだ。“情緒不安定なのかな?”と気にしつつもカノトも教室に入った。
「(佐野万次郎とは偶然だけど会った…。兄さんの死を回避するにはこの先どうしたらいいのか…)」
「おい!勝手に校内に入っちゃダメだよ!どこの中学だ!!」
「ん?」
授業中、廊下から騒がしい声が聞こえた。すると教室のドアがガラッと開いた。
「お♥いたいた」
「え?」
「遊ぼうよカノ♥」
「(佐野万次郎…!?)」
「タケミっちが案内してくれてさ〜」
ひょこっと顔を覗かせたマイキーが授業中にも関わらず、教室に現れた。
「オマエ真面目に授業受けてんの?」
マイキーがノートを見る。
「へぇーきれいな字。ちゃんとマーカーで見やすいように色分けしてんだな」
「な、何でここに…?」
「タケミっちとオマエ誘いに来た」
ドアの近くに立っていたタケミチも二人に強引に連れ出されたらしい。
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