第12章 狙った獲物をオトす為に
「やっとオレのモンだ」
「貴方のモノじゃない!!」
「反抗的な態度もいいねぇ」
「(だって私はもうマイキーくんのモノだもの…!!)」
「…美味そうな唇」
「え?」
「勇者チャンが可愛すぎるから、キスしたくなったな。このぷっくりとした、甘そうな唇に…さ」
「っ!?やっ!?」
顎を掴まれ、顔を固定される。
「やだやだ!!離して…!!」
必死にもがくも半間の顔が近づいてくる。
「助けてマイキーく……んんっ!!?」
ぐっと唇を押さえるように半間の唇が重ねられる。マイキー以外の奴とキスをしてしまった罪悪感からか、カノは涙を流した。
「(やだ!気持ち悪い!)」
ポロポロと溢れた涙はシーツにシミを作る。
「ふっ!?」
ねっとりとした舌が歯列を割って、口内に侵入してきた。カノは嫌悪感からぞくりと身を震わせ、半間の侵入を拒む。
「はっ……!あ、ん…やっ!」
「はぁ…夢にまで見た勇者チャンとのキス。こんなに気持ちいいのかよ」
「んんっ!?んぅ…ひっく…ん…っ」
逃げるカノの舌を、逃がさないように半間が追いかけ、深く絡ませる。くちゅ…ぴちゃ…っと卑猥な音を立てながら、長年想い続けてきた"愛する者"からの口付けを半間はたっぷり堪能する。
「も、やめ…て…」
「まだだ…。勇者チャンにはオレへの愛をたっぷり感じてもらわねーと。マイキーなんかに奪われてたまるか」
「んぅ…ふっ…や、だ…」
抵抗する力すら奪われていく。カノは誰の助けも来ないと知り、絶望して涙を流し続ける。
「(いっそ、舌を噛みちぎれば…)」
「もし、舌を噛みちぎったら…勇者チャンのこと今すぐ犯す」
「っ!?」
「だからオレの舌は噛まずに、大人しくしててくれよ?」
「(マイキーくんとの今までのキスが…この人のたった一度のキスで…全部消されてく。)」
助けて マイキーくん
「(気持ち悪い…吐きそう。マイキーくんのキスは…もっと優しくて、あたたかい。やめて…マイキーくんとのキスを、上書きしないで…)」
「…っはぁ。勇者チャン、泣いてんのか?」
「……………」
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