第12章 狙った獲物をオトす為に
「……………」
驚きを隠せず、見張った目で千冬を見る。
「宮村カノト!!!」
「!!」
「オマエも前に出て挨拶しろ」
マイキーに言われ、石段を登る。そこから見下ろす光景に息を呑む。東卍メンバーの顔が一人一人、ハッキリと分かる。全員の視線に圧倒されていると、背中に手を添えられた。
「!」
隣に立つマイキーが安心させるようにポンポンっと背中を優しく叩く。まるで"オレがついてるから大丈夫だ"と言うように触れた手のぬくもりが温かかった。
マイキーの気遣いを知り、カノトは嬉しそうに微笑んだ。そして緊張感を少し残しつつ、真っ直ぐに前を見据える。
「み、宮村カノトです!!千冬くんやタケミチくんと一緒に壱番隊を支えていけるような存在になれればいいなと思ってます!!よろ…よろしくお願いします!!」
緊張した面持ちで言うと隣でマイキーが可笑しそうに笑う。
「緊張しすぎ」
「うぅ……」
「壱番隊と千冬とタケミっちを頼んだぞ」
「はい!」
まだ 希望はある…!
✤ ✤ ✤
集会が無事に終わり、次の日の朝、タケミチとカノトは橘家に行き、握手を交わす。
「(マイキーくんを救いたかった…)」
場地さんのおかげで
マイキーくんは羽宮くんを
殺さなかった
マイキーくんの闇堕ちは防げたはず…
なのに…稀咲に加えて
半間まで東卍に入った…!!
これじゃあ遅かれ早かれ
東卍は稀咲達に乗っ取られてしまう
でも まだ
やれる事はあるはず!!
✤ ✤ ✤
2017年───現代。
「(久しぶりに戻ってきた…)」
現代に意識が戻れば、仕事終わりなのか、コートに身を包んで病院の外にいた。
「ん?メールが来てる…」
相手を確認するとタケミチからだった。"至急話したい事があるから〇〇〇ホテルに来てくれ!フロントには伝えてある!オレは少し遅れるけど待っててくれ!"と書かれていた。
「…話したい事?」
とりあえず指定されたホテルにタクシーを使って向かった。
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