第12章 狙った獲物をオトす為に
「東卍を辞めようと思ってたオレを、総長はこう言って引き止めた。"壱番隊の灯をオマエが消すのか?"」
「(すまねぇ…一番の被害者はオマエだよな…)」
「壱番隊を引っ張っていくのはオレにはやっぱり荷が重い。総長と話し合った、何日も何日も。そしてこういう形に辿り着いた」
バッと千冬は顔を上げる。
「自分(テメェ)のついて行きたい奴ぁ自分(テメェ)が指名する!!!花垣武道!!オレはオマエを壱番隊隊長に命じる!!!」
「え?」
「タケミチくんを…壱番隊の隊長に?」
「………、オマエ…何…?」
タケミチは驚きで言葉が突っかえる。
「タケミっち。これが場地さんの意志だとオレは思ってる!」
「!」
「場地さんがオマエに託し、オレと総長が決めたことだ」
カノトは顔を俯かせて何も言わないタケミチを心配そうに見る。
「花垣武道!!!顔上げてみんなに挨拶しろ!!」
「(まだ、終わってない。)」
ポタリと地面に水滴が落ちた。カノトは大量に涙を流すタケミチを見て笑って言った。
「ねぇタケミチくん…。私達の冒険は始まったばかりみたいだ。まだ、東卍を変えれる。だから…ハッピーエンドに辿り着くまで、もう少しだけ運命とやらに、抗ってみようよ」
つられてカノトも泣きそうになる。
「よろしくお願いしますっ!!!」
「オイオイ。何、泣いてんだよ。締まんねーな」
「あーあ、また刺繍入れ直しだよ」
「………、顔、上げすぎだ…バカ。」
それを見てマイキーも呆れたように笑った。
「そしてもう一人…壱番隊に入れたい奴がいる。宮村カノト!!オレはオマエを花垣武道の補佐役として壱番隊に指名する!!!」
「へ?」
「カノトを…?」
タケミチが壱番隊の隊長に任命されて良かったと喜んでいたのも束の間、千冬からの突然の指名にカノトは素っ頓狂な声を出す。
「千冬くん…本気?」
「あぁ。オレはオマエにも感謝してんだ。最後まで場地さんを信じてくれた事。オマエの支えがあるからこそ、壱番隊は成長していけると思う。だから場地さんの思いをタケミっちと一緒に背負ってくれ…!!」
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