第11章 やっと手に入れたモノ
「(後ろ向いててくれてるけど…マイキーくんの前で着替えるのホント恥ずかしい…!!)」
いつか振り向くんじゃないかと内心ドキドキしながらパンツも脱ぐ。
シュル、シュル…と時折、布生地と肌が擦れ合う音が聞こえる。
「あのさ…」
「何ですか…?」
「そのシュル…シュル…って音、今カノが脱いでんだなーって想像したら、すげーエロい気分になっちゃった」
「っ!?想像しないでください!」
「好きな女が近くで着替えて、それが見れないとか何の拷問?生殺しじゃん。」
「知りませんよ…」
「今は?下脱ぐ?」
「脱ぎ終わってます」
「じゃあ今、下着だけだ」
「そ、想像しないでくださいね…?」
「あー一瞬だけ振り向きたい」
「絶対ダメ!!」
「必死じゃん。別に下着姿見ても可愛いなーて思うだけだよ?下心とか全然…」
「私の着替えてるところを想像してエロいとか言う人に下心ないって言われても説得力ゼロですから」
ぷんすこと怒りながら白の無地のプルオーバーに首を通し、黒のハイウエストワンピースを履く。
「(うわ…可愛い。買って良かった。あとは…髪の横、編み込みにしようかな。)」
「終わったー?」
「もう少しです」
せっせと髪の横を編み込み、ヘアピンで留める。鏡を見ないと全身が分からないが、きっと変ではないだろう。
「なぁーまだー!?」
「もう振り向いていいですよ」
期待に満ちた顔で振り向いたマイキーがカノトを見た途端、目を見開かせ、驚いた顔で固まった。
「?マイキーくん?」
「……………」
声を掛けてもカノトをじっと見つめたまま、返事がない。不安に思ったカノトが"やっぱり変だったのか…"と落ち込み始める。
「あの…似合ってなかったら…」
「何だよそれ…」
「え?」
「想像以上に似合っててビックリした」
「っ…………」
微かに頬が染まっており、恥ずかしそうな顔を隠すように手で覆ったマイキーが、カノトを直視できず、視線を逸らす。
そんなに褒められると思ってなかったのか、マイキーにつられて、カノトも頬を染め、恥ずかしそうに照れた。
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