第11章 やっと手に入れたモノ
紫色の瞳が涙で揺れる。
「もっかいちゅーしよ」
「…好きですね、ほんと」
「バーカ、オマエとだからだろ」
マイキーは可笑しそうに笑い、もう一度、キスをする。カノトも口では素っ気なく言うが、本当は心の中では嬉しいと思っているのだ。
「ホント素直じゃねぇな、オレの恋人は」
「!」
「そういうトコも好きだけど」
ニヤリと意地悪く笑ったマイキーにカノトは顔を赤くした。
「そういえばさ、あの袋何入ってんの?」
マイキーはカノトが渋谷で買った服が入った袋を不思議そうに見ている。
「あぁ…服を買ったんです。立ち寄ったショップに気に入ったのがあったので」
「それって、女物?」
「まぁ…そうですね。」
「見たい!」
「えぇ……」
ガバッと上体を起こしたマイキーが目を輝かせて言う。
「着て見せて!」
「ココで!?無理無理!!」
「オレしか見てないんだしいいじゃん!な?お願い!」
「う、うーん…」
買ったのは白の無地のプルオーバーと黒のハイウエストスカートワンピースだ。似合うかどうかは別として可愛かったから購入したのだが…
「(似合わないって言われるのも嫌だしな…)」
「似合うに決まってんじゃん」
「!口に出てました?」
「オマエの考えてる事なんて分かるよ。どうせオレに似合わないって言われたらどうしよ〜とか思ってんだろ」
図星を突かれ、ドキッとする。
「オマエがどんな服を着てもぜってー似合うってオレは思ってるよ」
「…じゃあ、着ます。」
「やった!」
「ただし!いいと言うまでこっちを見ないでください」
「え〜」
「何で少し残念そうなんですか。それが守れないなら着ません」
「んー…わかった。」
渋々承諾したマイキーにホッとし、ベッドから降りて袋から購入した服を出す。
「マイキーくん。見ちゃダメですからね」
「見たらどうなんの?」
「ぎゅーもしないしちゅーもしません」
"それはやだ!!"とマイキーはベッドの上で胡座を掻き、くるっと背を向けた。
カノトは白のシャツとニットベストを脱ぎ始める。
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