第11章 やっと手に入れたモノ
その言葉に再び目を見開く。マイキーの口から紡がれた声は、どこか切なく吐き出され、カノトは驚いた顔でマイキーをじっと見つめた。
「悪ぃ…やっぱ待てねーわ。"あの時"の返事、保留のままだけど、今聞かせて。好きだよカノ。オマエの事が好きだ。オレがずっと守ってやる。オマエを傷付ける全てのモノから必ず守る。だから…もう諦めてオレのモノになれ───」
マイキーはギュッとカノトを抱きしめた。その想いに泣きそうになる。目を潤ませたカノトは鼻の奥がツンっとなるのが分かった。
「(兄さんの生きる世界を見つけるまでは幸せにならないと決めていた。私だけ幸せになるのが申し訳なかったから。)」
"でも…"と言葉を付け足す。
「(こんなにも私を愛してくれる人は、きっと世界中探しても、この人だけだ。たくさん抱きしめて、たくさんキスをして、こっちが恥ずかしくなるほど愛の言葉を伝えてくれるのも…マイキーくんだけ。)」
繋がれたこの手を握ってくれるのも
一緒にココアを飲んでくれるのも
隣にいて楽しませてくれるのも
傍にいて…笑わせてくれるのも
「(この人だけだ───。)」
嬉しそうに微笑み、マイキーの背中に両手を回す。
「!」
「(私は…彼の傍で生きていきたい。マイキーくんが、好き。大好き。)」
だから───…許してね、兄さん
私が幸せになることを、許して…
「大好き、マイキーくん。私は貴方のモノになりたい。」
「っ…………」
「たくさんの愛を与えてくれて、ありがとう。私をこんなにも大切に思ってくれてありがとう。"あの時"から返事を待たせてごめんなさい。私は貴方が好きです。」
大好きの想いを込めてギュッと強く抱きしめる。
「ハハ…どーしよ。嬉しすぎて涙出る。」
「私も嬉しすぎて涙が出そうです」
「…キスしてもいい?」
「はい」
"ありがとう"──そう言ったマイキーの顔が寄せられ、お互いに目を閉じ、唇を重ねた。
「(どうしよう…凄く愛おしい。好きが溢れちゃう。)」
そっと唇を離し、見つめ合うと、マイキーは嬉しそうに笑って言った。
「やっと、オレのだ────。」
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