第11章 やっと手に入れたモノ
「エマ〜、この後一人にしちまうけど平気?」
「ウチは平気。まだ時間あるしコレ食べたら適当にぶらついてる。あ!そうだヒナ!良かったら遊び行かない?」
「え!?行く…!!」
エマに誘われ、ヒナは嬉しそうな顔をする。
「カノはこれからオレとの時間を優先させてもらうから」
「!」
ポスッと帽子を頭に被せられる。
「2週間会えなかった分、たくさんオマエに触れさせて」
「っ…………」
「ケーキも買って行く?」
「……はい」
「好きなの選んでいいよ」
「自分で払いますよ?」
「ダメ。オレが奢る。オマエに会えたから今日すげー気分いいの、オレ。」
「(私だって、"すげー気分がいい"んですよ。貴方に会えたから…。)」
照れた顔でカノトは嬉しそうに微笑んだ。ふとタケミチと目が合うとビシッと親指を立てられる。"よかったな!"という意味を込めてニッと笑ったタケミチを見て、カノトもニコッと笑い返した。
✤ ✤ ✤
カフェでケーキを買い、二人仲良く肩を並べて歩き、マイキーの家に到着する。靴を揃えてマイキーの部屋に行き、買った服とケーキは邪魔にならない場所に置いた。
「あ、そうだ。マイキーくん飲み物は…」
飲み物を買ってなかったと思い出したカノトが後ろを振り返れば、急にマイキーが抱き着いてきた。
「ま、マイキーくん…?」
「はぁ…やっぱあったけぇ。二週間ぶりのカノのぬくもり。ふわふわしてて抱き心地良すぎる…」
耳元で囁かれ、ぞくっと身を震わせる。
「マイキーくんもあったかいですね」
「だからそれはオマエの体温が高いからだって。湯たんぽみてぇ…」
マイキーは可笑しそうに笑う。
「なぁ…もっとぎゅーしよ。オレのことも両手でぎゅーっ!って抱きしめて」
甘々モードで擦り寄ってくるマイキーを可愛いと思いながら、2週間分の"ぎゅー"をマイキーに返す。
「お、すげぇ力入れて抱きしめんね。カノからの2週間分のハグにオレへの愛が込められてる感じがしていいな!」
「私だって寂しかったんですよ…」
「ごめんな?我慢せずにオレから会いたいって言えば寂しい思いさせなかったな」
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