第11章 やっと手に入れたモノ
「(あー…だからやめた方がいいって言ったのに。)」
「…"カノジョ"はいねェけど」
「!」
マイキーはカノトが被っていた帽子を取り、ゆっくり顔を近づけると同時に手に持っている帽子で口許を隠す。
ちゅっ。
カノトは驚いて目を見開いた。
「"カレシ"なら、いるかもな?」
べっと舌を出して悪戯っぽく笑うマイキー。帽子で二人の口許が隠れている為、本当にキスをしたかは分からないが、ぶああっと顔を赤くしたカノトの反応を見た全員が、照れたように驚いた表情を浮かべた。
「ま、マイキーくん!!ひ、人前で…なにっ、何するんですかっ!!」
「(えぇ!!今あの二人、キ…キスしたよな!?帽子で隠れて見えなかったけど絶対した!!)」
タケミチは顔を赤くしながら心の中で叫ぶ。
「(コイツ絶対わざとだな。あー宮村めっちゃ顔赤ぇじゃん。もしかして牽制のつもりだったのか…?)」
「ふーん…マイキー君だっけ?さっきの言葉どういう意味?」
「(なんてこと聞いてるんですかめぐたんさん!?)」
「オレ、コイツのことが好きなんだよね」
「!?」
「だからコイツのこと真剣じゃねーなら、好きになるな。まぁ、本気だとしても他人に譲る気ねェけど」
牽制するかのような目と声にその場にいた全員が息を呑む。そしてマイキーはニコッと笑み、いつもの口調と声のトーンで言った。
「そういうワケだからコイツのこと、諦めてよ」
「……………」
めぐたんは頬を膨らませ、悔しそうにマイキーを睨んでいる。
「むぅ〜!」
「それにめぐたんにはチャッピーがいるじゃん。そいつで我慢してよ」
「そいつ!?」
アハハと乾いた笑いを浮かべるマイキーの言葉に友人は驚いた声を出す。
「…チャッピー。めぐ、お腹空いた。カフェじゃなくて原宿行こ」
「めぐたん…!!」
パァッと笑顔になった友人の腕を引き、めぐはカフェを出て行った。
「てコトだから…オマエらも手ぇ出すなよ?」
ニコリと威圧感のある笑みに気圧され、タケミチ達は必死でコクコクと頷いた。
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