第10章 “あの日”のお守り
「ところで…誰の家に行ってたの?」
「ドラケン君ん家!」
「ドラケンくんの?」
「聞いてくれよカノちゃん!ドラケン君の家って渋谷のど真ん中にあってさ、しかも風俗店だったんだ!」
「風俗店…?」
「ドラケン君の部屋に東卍のみんなの写真とかエマちゃんの写真が飾ってあってさ!」
「そっか。なんだかんだで大事にしてるんだね、エマちゃんのこと」
「な!素直じゃねェよなぁ〜ドラケン君!」
「でもお似合いのカップルだ」
「しっかし遅せぇな。誰と電話してんだ?」
「あー…実はね…」
タケミチに事情を話す。
「うわぁ…絶対出会い系じゃんソレ」
「本人は至って真面目に友達作りのアプリだって言い張ってるんだけどね。中には"そういう目的"じゃない人達もいるわけじゃん?」
「だからあんなにデレてんのか…」
「困ったものだよねホント」
「カノちゃんも大変だな」
「普段はモテない事を気にしてて、いつも女の子達に囲まれてる僕を見て悔しがったり僻んだり羨んだりしてるけどさ…ああ見えて良い奴なんだよ」
ニコッと笑う。
「やー!悪ぃ悪ぃ!待たせたな!」
「終わったの?」
「おう!ちょうどあの子もカフェに向かってる途中だってさ!」
「…ねぇ本当に会うの?」
「当然じゃん!モテねー男がモテる男にランクアップしちまうかもしんねェだろ!」
「ちょっと何言ってるか分からない」
「あ〜楽しみだな〜!」
「(テンション上がりっぱなしじゃん…)」
終始ニコニコ顔でウザイほど浮かれている友人を見て、カノトとタケミチは顔を見合わせ、呆れたようにため息を吐いた。
「なぁ花垣、お前カノジョいたよな?」
「いるけど…」
「めっちゃ可愛い?」
「めっちゃ可愛い!!」
「こんなところでノロケんなよ〜」
「オマエが振ってきたんじゃん」
「やっぱいいよな♥」
「最高…!!もうめちゃくちゃ可愛い!!」
「よせよ、照れんじゃんか」
「オマエの事じゃねェわ!!」
「(え…何この会話。心底どうでもいいんだけど。ヒナちゃんが可愛いのは分かるけど。)」
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