第10章 “あの日”のお守り
「ところで、お前もう帰んの?」
「まだ時間あるし、カフェでも行こうかなと思って。ネットで良いところ見つけたんだ」
「どこ?」
"ここ"と携帯を出して教える。
「俺もココのカフェ行くんだよ」
「待ち合わせ場所なの?」
「そ。だから一緒に行こうぜ」
「うん」
「お前にも紹介してやるからさ!」
「え、いいよ」
「まぁそういうなって。もしかすると今日俺に人生初のカノジョができるかもしんねーだろ?」
「(随分浮かれてるなぁ…)」
「待ってろよ〜初カノちゃん♥」
ぐいっと腕を引かれ、鼻歌を歌いながら歩き出す友達に引きずられるような形で、一緒にカフェへと向かった。
✤ ✤ ✤
「(そういえば"血のハロウィン"以降、マイキーくんと会ってないな…。向こうからも連絡来ないし、私も不用意に連絡を取ったりしない。)」
怒って引っぱたいちゃったし…
会いたいけど…会いづらい
「(マイキーくん…怒ってるのかな…)」
そう思うとズキンと胸が傷んだ。
「お?あれって花垣じゃね?」
「!」
「おーい!花垣!」
呼ばれて振り返ったタケミチが二人を見て驚いた顔を浮かべる。
「え!?何で二人がココにいんの!?」
「僕は買い物した帰りにカフェに寄ろうと思って」
「俺は野暮用でコイツと同じカフェに行く予定があって一緒に歩いてる」
「へ、へぇ〜……」
「お前こそ一人で何してんだ?」
「知り合いの家に寄った帰り」
「ふーん…」
その時、友達の携帯に着信が入る。
「あの子からだ!悪ぃ!ちょっと出るな!」
デレデレとした締りのない顔で片手を挙げ、電話に出た友人は二人から少し離れた。
「なぁカノちゃん、一応聞くけどさ…」
「ん?」
「アイツと付き合ってる…なんて事は…」
「は?」
「ないですよね!!うん分かってた!!マジでスンマセン…!!」
カノトの"は?"に込められたマジトーンにひえっと顔を引き攣らせたタケミチは涙目になりながら必死に謝った。
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