第10章 “あの日”のお守り
「宮村は?カノジョいねーの?」
「いないよ」
「でも付き合ってる奴はいただろ?」
「残念ながら」
「マジ?」
「何でそんなに驚くわけ?」
「だってこんなイケメンを女共が放っておかねぇだろ!?」
「でもカノトが告白されてるところ見たことないよな?」
「分かってねーな花垣。常にコイツの周りには羨ましいほど女子達が群がってんだぞ?その時にサラッと告ってるかもしんねーだろうが」
「ああ!なるほど!」
「…納得しないでよ」
ポンッと手を打つタケミチに呆れ顔を浮かべる。
「なら好きな奴は?」
「!」
「…お?その反応…もしかして〜…」
不意打ちを食らい、思わずピクッと反応してしまった。それを見逃さなかった友人はニヤニヤと笑いながら口に手を当てる。
「いないよ、好きな人なんて」
「いーや!今の反応!ぜってーいる!」
「だからいないってば」
「(カノちゃんの好きな奴ってマイキー君だよな?)」
「花垣…お前、コイツの好きな奴知ってんな?」
「へ!?」
矛先が自分に向けられ、タケミチは慌てて否定した。
「い、いやいや…!マジで知らねェって!」
「うーん…怪しい」
「もう僕の話はいいだろ。それより早くカフェに向かおうよ」
タケミチとカノトが先に歩き出す。
「ん?あれ?エマちゃん…!?」
「本当だ」
お洒落をして何処かに向かうエマを見つけた。
「声掛けてみよっか」
「だな!おーいエマちゃ…」
エマの後を追いかけ、曲がり角を曲がった。するとエマが嬉しそうな顔で誰かに抱き着く。
「え!?」
「大好きマイキー」
「(……え?)」
「ぎゅってして?」
「(エマちゃんと…マイキーくん…?)」
抱き合う二人を見て目を見開く。
ドサッ
思わず持っていた袋を落とす。
「おーい宮村?」
「っ………!」
「(あーカノちゃんショックのあまり声が出てねぇ…。)」
マイキーとエマが抱き合う姿に、カノトは悲しそうな顔でキュッと唇を結んだ…。
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