第10章 “あの日”のお守り
「羽宮くんの考える事なんて分かるよ。過ごした時間は長くないけどさ…友達だから。自殺して詫びようなんて…絶対に許さないよ」
「……………」
「約束してよ、羽宮くん」
「約束?」
「刑期を終えたら僕に会いに来て。死んだりしたら呪ってやるから」
「呪われんのはヤダな…」
一虎はふっと笑う。
「…約束する。」
「待ってるからね」
ニコッと笑ったカノトは片手を挙げて、マイキー達の元に走って行った。
2005年10月31日
東京卍會150人vs.芭流覇羅300人
この類を見ない大抗争は
東京卍會の勝利
そして
死者1名
逮捕者1名を出すという
悲惨な結果に終わった
この抗争が後に
"血のハロウィン"と呼ばれる
✤ ✤ ✤
2週間後───……
「お!宮村じゃん!」
白のシャツにベージュのニットベストと黒の帽子を被り、渋谷で買い物を終えて帰ろうとすると、偶然いつもの友人に遭遇した。
「こんなトコで会うなんて奇遇だな!」
「本当にね」
「何してるん?買い物?」
「その帰りだよ。そっちは?」
「俺は女の子と待ち合わせ♪」
「え?寝惚けてる?此処は現実だよ?」
「夢じゃねェ事くらい分かってるわ!!」
「てっきり夢と現実の区別がつかないほど女の子に飢えてるんだと思って…」
「お前マジで失礼だな…。ちゃんと現実で女の子と会うんです!!その証拠がコレだ!!」
何故か得意げに携帯を開き、目の前にババンッと突きつけられる。そこには確かにゆるふわ系の女の子の写真が写っていた。
「可愛い子だね」
「だろ!」
「どこで知り合ったの?」
「お?聞いちゃう?しゃーねーなァ〜!そんなに聞きたいなら特別に聞かせてやんよ!」
「あ、別にそこまで興味ないからいい」
「少しは興味持って!?」
"聞いてくれよ〜話したいんだよ〜"と腕を掴みながらえぐえぐと泣き出す友人を若干面倒くさいと思いながら、仕方なく話を聞く事にした。
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