第10章 “あの日”のお守り
「オレは場地と残る」
「!」
「みんな行ってくれ…」
「一虎君…」
「オレの起こした事だ。自分でケジメをつけたい」
「………、わかった」
マイキーは一虎に背を向ける。
「東卍もここで解散だ!」
「ウッス!」
「マイキー……」
俯かせていた顔を上げる。リンと鈴のピアスが静かに揺れた。
「許してくれなんて言えねぇ。真一郎君の事も場地の事も一生背負って生きていく」
「……………」
一虎は両手を後ろで組み、マイキーに向けて頭を下げた。ドラケンも三ツ谷も千冬もタケミチも目尻に涙を浮かべたまま、背を向け歩き出す。
カノトは頭を下げたままの一虎の前に立った。
「!」
それに気付いた一虎が頭を上げると、無表情のカノトがじっと一虎を見ている。
「カノト…」
「……………」
「オマエにも…酷い事しちまったな。本当に…悪かった。許してもらえるとは思ってねェ…だからオレを恨んでもしょうがねェと思ってる」
「……………」
「友達も…やめていい。オマエを傷付けて、泣かせたのはオレだ。まぁオマエは…もうこんなオレを友達だと思ってねぇだろうけど」
一虎は眉を下げ、悲しそうに笑う。
「僕、羽宮くんと友達やめるなんて一言も言ってないけど。」
「!!」
「羽宮くんのしてきた事は正直許せない。でも、僕は本当の羽宮くんを知ってるから、本当は羽宮くんが優しい人だって知ってるから…恨んだりしないよ」
「っ…………」
「でも…もうこういう事はやめてね。次やったらその時は本当に許さないし、羽宮くんの友達をやめる。」
「…本当に、どこまでも優しいな…オマエは。オレを許すなよ…ずっと恨んでくれたら…もうオマエに会わなかったのに…」
「アイス、また一緒に食べに行こうね。あ、その時はもちろん羽宮くんの奢りで。」
「あぁ…ありがとう」
ニコリと笑ったカノトに一虎はどこか嬉しげに、それでいてホッとしたように、力なく笑った。
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