第10章 “あの日”のお守り
「なんでわかんねぇんだよ!?」
「!」
その時、制服のポケットからお守りが落ちる。
「場地君が何の為に死んだと思ってんだよ!?二人の…東卍の為だろ!?場地君は一虎君に殺されるんじゃなくて──自決することを選んだんだ!!」
「場地さんは羽宮くんに負い目を感じてほしくなかったから決断したんだよ。マイキーくんに羽宮くんを許してほしかったから。みんなが大好きだから、その決断をしたんだ」
マイキーを見た後、振り向き、一虎を見る。
「どうしてそれがわからないんだよ」
静かに涙を流し、怒りで震えるカノト。
「……タケミっち…カノ…」
タケミチとカノトの想いに千冬は涙を流した顔で二人を見た。
「タケミっち。このお守りを…どこで…?」
地面に落ちているお守りを拾い上げる。
「…集会の時、神社で拾ったんですよ…」
「お守り…?」
「!それって」
「場地…ずっと持ってたのか…?」
「?」
「“あの日”のお守りだ」
「場地…」
驚いた顔を浮かべる一虎の目に涙が浮かぶ。
『オレらの全てをオマエに預ける』
『時代を創れ、マイキー』
その言葉でマイキーの目に光が戻り始める。
『どんなチームにしたい?』
『一人一人がみんなの為に命を張れる、そんなチームにしたい』
「これがその…結成記念のお守りだ」
「(場地さん…)」
「東卍を創ったのはオレじゃない。…………。場地だ。」
マイキーは場地の傍まで歩み寄る。
「"誰かが傷ついたらみんなで守る""一人一人がみんなを守るチームにしたい"。そうやってできたチームだったな」
場地のチーム名に込めた想いに、マイキーとドラケンは涙を浮かべ、三ツ谷と一虎は涙を流した。
「場地君はずっと一人で戦ってたんスね…。その日の約束を守る為に…」
「最期までカッコイイなぁ、場地さんは…」
タケミチもカノトも涙を流す。
「ゴメンな…場地。」
その時、遠くの方からパトカーのサイレン音が聞こえた。
「警察(サツ)だ」
「帰んぞオマエら」
「解散だ!はけろはけろ!」
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