第2章 無敵のマイキー
「やめない」
「…………!」
「必死に我慢してたけどもう無理。大事な友達を痛めつけられて黙ってられるほど、僕は優しい人間じゃないよ」
「友達?テメーみたいな優等生とコイツが?ハッ!冗談だろ。」
キヨマサは馬鹿にしたように笑い飛ばす。
「貴方みたいな暴力を振るう事でしか勝てないドクズに…僕達の仲を侮辱する権利、ないと思うんですけど」
無表情でキヨマサを見るカノトの辛辣な言葉に周りは驚いた顔をしている。
ピシッとキヨマサの青筋が浮かび上がった。
「…上等だ。花垣と一緒にテメーも殺してやるよ」
「……………」
カノトはギュッと拳を握りしめる。
「オイ、キヨマサ」
「あ?」
「客が引いてんぞー」
「!」
不穏な空気に包まれた中、それを壊す男が現れる。
「ムキになってんじゃねーよ。主催がよー」
「(…誰?)」
「金の辮髪に、こめかみに龍の刺青…」
先程とは違ったざわつきが起こる。
「東京卍會、副総長!!龍宮寺堅。通称“ドラケン”!」
「(東京卍會の…副総長!!)」
「ねえねえ?ケンチン?」
「あ!?そのアダ名で呼ぶんじゃねーよマイキー」
「どら焼きなくなっちゃった」
「!」
ドラケンの後ろにもう一人、小柄な男がいた。カノトは驚いてマイキーを見る。
「なんだあいつ?」
「場の空気全然読めてねえ」
するとギャラリー達が一斉に頭を下げた。
「総長、お疲れ様です!!」
「お疲れ様です!!」
「お疲れ様です!!総長!!」
「(東京卍會の総長…佐野万次郎。)」
「無敵の“マイキー”。東卍のボスだ!!!」
あれだけ騒いでいたギャラリー達が嘘のように静まり返っている。近付いてくるマイキーにキヨマサは頭を下げた。
「お疲れ様です」
大人しくなったキヨマサも頭を下げるが、ドラケンに蹴りを入れられる。
「キヨマサー。いつからそんなに偉くなったんだー?総長に挨拶する時はその角度な?」
「は…はい!!!」
蹴られた腹部を手で押さえ、咳き込むキヨマサは別人のようにドラケンの言葉に従う。
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