第2章 無敵のマイキー
仲間を助ける為にキヨマサにタイマン勝負を挑み、圧倒的な強さに苦戦するタケミチだったが、どんなに痛めつけられても、必死に立ち向かい、諦めない眼差しをキヨマサに向ける。
「ま…だぁ…まだまだだよ…」
「ハァ、ハァ、ハァ、」
キヨマサの息も上がっていた。
「まだまだ…こんなんじゃ…オレ…の12年、へたれた…心は…直らねぇんだ…よ」
「?」
「何言ってんだオマエ」
「逃げて逃げて、逃げて逃げて」
“姉を救ってください”
「ハァ、ハァ、」
“君にしか姉は救えない”
タケミチの目から涙が溢れ落ちそうになる。それを見たカノトの目にも涙が浮かぶ。
「もう引けよ!タケミチ!十分気合見せたよ!!」
「引けねぇんだよ!!!!引けねぇ理由があるんだよ!!!」
「(そう…私達には引けない理由がある。)」
“お兄さんを助けられるかもしれない”
「(ここで諦めるわけにはいかないの。)」
“お兄さんがいる世界を…取り戻しませんか?”
「(…兄さん。)」
脳裏にマドカの笑った顔が浮かんだ。
「東京卍會、キヨマサ…。勝つにはオレを殺すしかねーぞ。絶っっ対ぇ負けねえ」
目尻に涙を浮かべた顔でタケミチは笑う。キヨマサはその諦めない強い目に圧倒された。
「バット持ってこい!!」
それを聞いたカノトの顔が怒りで歪む。
「上等だ。殺してやるよ」
「……………」
「バットって」
「早くバット持ってこい!!」
「タイマンじゃねーの?」
キヨマサの言葉に流石のギャラリー達も戸惑っている。
「卑怯者…!!!」
怒りで震える身体を抑え、カノトはキヨマサに向かって叫んだ。
「あ?」
キヨマサの視線がカノトを捉える。
「もし彼を殺してみろ。そんなことしたら真っ先にお前を殺してやる…!!」
ザワッ
「さっきから何だテメーは?」
「……………」
「その生意気な眼、気に入らねーな。そういやオレのことを“ゴミ以下のゲス野郎”っつったか?」
「カノト…やめろ…」
キヨマサの意識が自分から逸れ、カノトに向けられた事にタケミチは焦りを感じた。
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