第9章 東卍vs.芭流覇羅
「稀咲ぃぃ!!ツラがわかんなくなるまでブン殴ってやるぜ!!」
「場地さん…」
「…よぉ、宮村。殴られてせっかくの美形が台無しだな。顔だけ取り柄のオマエが不細工になったじゃねェか。ざまあねえな」
「美形は殴られても美形なんですよ」
「相変わらずクソ腹立つな」
悪態をついて笑う場地にカノトもニコリと笑って言葉を返せば、場地はつまらなさそうに顔を背けた。
「っ、場地さん危ない!!」
「!!」
後ろ首を掴まれ、強く投げ飛ばされる。ガンッと車体に体を叩きつけられた場地だが勢いが止まらず、更に転げ落ちた。
「大丈夫っスか?稀咲さん」
倒れていた稀咲が片膝をついて立ち上がる。
「ブンブンブンブン、オレの周りを嗅ぎ回ってるハエだ。叩き殺せ」
「…上等だよ、稀咲!!」
「(まずい…このままだと場地さんが殺されちゃう。)」
すると場地の前に両手を広げた千冬が飛び出す。
「千冬…?なんのマネだ?」
「(千冬くん…!)」
「場地さん、ダメっスよ。今ここで稀咲をヤるのはマイキー君を裏切る事です!東卍の為に稀咲をヤるなら今じゃない」
そう説得しようとするも場地に鉄パイプで殴られてしまう。場地は言う。千冬を自分の横に置いたのは喧嘩の腕を買っただけだと。
それでも千冬は言う。自分は壱番隊の副隊長で、場地を守る為にここにいるのだと。
「どーしてもこの先に行くならオレも容赦しねーぞ!!」
「やってみろ」
そしてカウントダウンが始まる。今ここで場地を殺さなければもう止められない。それでも千冬に与えられたカウントダウンは刻一刻と迫っていく。
「(無理だよ…千冬くんに場地さんは止められない。一番信頼している人だからこそ、殴れないんだよ。)」
カノトは辛そうに千冬と場地を見る。
「(場地さんを守らないと。)」
“でも…”と後ろを振り返る。
「(意識のないマイキーくんの傍を離れる事はできない。)」
“ゼロ”と告げた瞬間、タケミチが場地の腰辺りに飛びついた。
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