第9章 東卍vs.芭流覇羅
鉄パイプを持っていない方の手をカノトに向けて伸ばし、どこか壊れたように一虎が笑う。
「好きだ、カノト」
一虎からの突然の告白に目を見開く。
「初めて会った時からずっと。オレはオマエに惚れてる」
「羽宮くん…」
「男とか関係ない。オマエだから惹かれたんだ。優しいところも、笑顔が似合うところも、全部、好きだ」
「……………」
「だからマイキーを捨てて…オレのモノになってよ。オマエがずっと傍にいてくれるだけで…オレは幸せなんだ」
切なげに呟かれ、戸惑う。
「オマエがオレを選んでくれたら、この抗争はおしまいだ。場地も東卍に返してやるよ」
「場地さんを…?」
「さぁ、手を取れ。オマエなら…何が正解か、分かるだろ?」
ドクンッ
「(これだ…。羽宮くんが私に出した条件。羽宮くんを選べば、この抗争も終わって、マイキーくんは助かる。場地さんも連れ戻す事ができる。でも…もし、この手を取らなかったら…)」
ドクンッ
『本当に羽宮くんを選んだら…この抗争を終わらせてくれる?場地さんも自由にして、マイキーくんも…助けてくれる?』
『そう言ってんじゃん』
『…カノ?何するつもりだ?』
『マイキーくん…ごめんなさい。僕はマイキーくんがこれ以上傷付けられるのは見たくない。だから…』
『それをオマエ一人で勝手に決めんじゃねェよ!!一虎の条件なんて呑むな!!』
『……………』
『おい!!』
『僕が羽宮くんを選べば、この抗争は終わるんです。場地さんも帰って来ます。マイキーくんもこれ以上、傷つかなくて済みます』
『ふざけんな…!!この先もずっとオレの傍にいるって約束しただろ!?なのにオマエはオレから離れるのかよ!!』
『傍にいたかったですよ。この先もずっと…マイキーくんの傍にいたかったです。でも…羽宮くんの手を取らなかったら…待ってるのは最悪の未来だけです』
『だから…自分だけ犠牲になろうとしてんのか?オレらを守るために…』
『一番の理由は、マイキーくんを守る為です。だから…僕は羽宮くんの手を取るよ』
『ダメだ…行くな…行かないでくれ…』
『ごめんなさい…』
『カノ…!!』
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