第9章 東卍vs.芭流覇羅
「マイキーくん…本当に大丈夫ですよ。だから…そんな怖い顔しないでください。ね?」
「……………」
無表情でマイキーはこちらを見た。
「だから無茶すんなっつったろ」
「…すみません」
抗争中で気が立っているのか、いつもの優しい声とは違い、少し苛立ったようなピリつく声で言った。
すると一虎がふとカノトの胸元に下げられたネックレスに気付いた。
「そのネックレス…」
「え?」
どこかで同じモノをこの抗争の中で見た事があった一虎が、見張った目で、マイキーの胸元に視線を向けた。
二人の胸元に同じ色違いのネックレスが付けられているのを見て、一虎の中で苛立ちが膨れ上がる。
「やっぱ許せねェな…」
「羽宮くん…?」
カノトに背を向けた一虎が狂った目でマイキーを見る。
「何でテメェなんだよ」
「……………」
「カノトと出会ったのはオレの方が先なのに、何で後から出てきたテメェにカノトが振り向くんだよ…なぁマイキー!!」
どこか悔しげに怒りをぶつける一虎をマイキーはただじっと冷たい目で見ている。
「一虎。テメーがそいつに何をしたのか、知ってるよな?」
「!」
「嫌がるそいつを押さえつけて、無理やり自分のモンにしようとした。そんなんでそいつがテメーに振り向いてくれると本気で思ったのか?」
「マイキーくん…」
「…うるせぇ。そうでもしなきゃ、コイツは…カノトは…」
そこまで言って、言葉を呑み込む。
「オイッ」
その時、チョメががら空きになっているマイキーの背中に飛び蹴りを入れた。
「こっちからが本番だぞ!!?」
「マイキーくん!!」
すると一虎が足元に落ちていた鉄パイプを拾い上げる。
「羽宮くん…?それ、どうするの…?」
「オマエさ、マイキーが傷ついたらどうなんの?」
「や、やめてよ…羽宮くん」
「オマエの気持ちがオレに向かねェなら、マイキーを殺すしかねェだろ?」
狂気を孕んだ目にビクッと体を震わせる。幹部二人を相手に交戦するマイキー。2対1という不利な状況でも圧倒的な強さを見せつける。
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