第9章 東卍vs.芭流覇羅
「それを決めンのはオマエじゃねェよ。これはオレらの戦いだ。喧嘩もした事ねェ奴がしゃしゃり出て来んな」
「東卍の人達も、芭流覇羅の人達も、喧嘩でしか戦えないのは分かってる。でも…羽宮くん達のやり方は間違ってる!」
「は?何が間違ってるって言うんだよ?」
「東卍の人達は場地さんを助ける為に戦ってる。じゃあ、羽宮くん達は…芭流覇羅の人達は、“何を理由に”、戦うの?」
「理由?そんなモン決まってんだろ!東卍を潰してマイキーを殺す!それ以外に理由なんてねェよ!」
「羽宮くんの戦う理由が“それ”なら、この抗争で負けるのは芭流覇羅だ。羽宮くんはマイキーくんには勝てない」
ピキッと青筋を立て、キレた一虎がカノトの胸ぐらをガッと鷲掴んだ。
「一虎!!」
マイキーが一虎の名前を呼ぶ。
「オレがマイキーに勝てない?ふざけんな。何を根拠に勝てないって言ってんだ」
「羽宮くんの中から“殺す”っていう理由が消えない限り、マイキーくんに勝てないって言ったんだよ」
「カノトてめぇ…」
「僕を殴りたいなら殴ればいい」
「!」
「でも…それをしてしまったら、羽宮くんはきっと後悔する」
「…意味わかんねェよ」
「今は分かんなくていいよ。僕はこの抗争を止めたい。誰かが何かを失う前に。」
じっとカノトは一虎を見つめる。
「…そうやって、ずっとオレの事だけ見ててくれたら…オマエを大事にしてやれたのに。オマエもオレを裏切ったんだ。なぁ…カノト。」
胸ぐらを掴んでた手がゆっくりと頬に伸びる。
「そいつに触んじゃねェよ」
怒りを含んだ声に伸ばしかけた一虎の手が頬に触れる寸前でピタッと止まる。
「…マイキーくん」
「…どうしたその痣。」
「あ…油断してたら殴られちゃって…」
「……………」
するとマイキーはスッと乱戦の中に目を向ける。
「どいつ?」
「え?」
「オマエを殴った奴。オレが見つけてそいつを殺す」
「ま、待ってください!ちゃんと仕留めたので…!」
「仕留めンなら息の根も止めねぇとだろ」
マイキーは怖い目で下にいる奴らを無表情でじっと見つめている。
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