第9章 東卍vs.芭流覇羅
狂気じみた顔で半間はドラケンに向かって叫ぶ。
「壊す?」
「勇者チャンがオレのもんになねェなら…勇者チャンの大事にしてるモン、全部ぶっ壊して、オレのモノにするしかねーだろ!?」
「!?」
「何もかも失った勇者チャンはオレに縋るしかなくなる!!最ッ高だろ!?」
「マジでイカれてやがンなゾンビ野郎…」
「ドラケンもマイキーもぶっ壊す!勇者チャンがオレを選ぶようにな…!!」
高笑う半間の狂気にドラケンは静かに怒り、半間を強く睨みつける。
「テメーじゃあの二人の仲は引き離せねェよ」
「あ?」
「運命の相手が誰とか知るか。そんなモンに頼ってンなら、テメーは一生アイツに逃げられたままだぜ」
「……………」
「もしアイツらの仲を引き裂くような真似しやがったら…オレがテメーをぶっ飛ばす」
「怖ぇなドラケン…」
微塵も怖いと云う顔はしておらず、むしろ怖い顔で睨むドラケンを見てニヤリと笑っていた。
その頃────。
「死ねクソイケメン野郎!!」
「ああもう!!ホント次から次へとしつこい!!」
さっきの戦いを見ていた芭流覇羅のメンバーから次々と喧嘩を吹っ掛けられ、その度に“天誅”しているカノト。
「ぐはあっ!!」
怒りに任せて相手に回し蹴りを食らわし…
「あばぁっ!!」
卑怯な手を使おうとする相手を背負い投げ…
「ごふっ!!」
殴り掛かって来る相手の襟元を両手で掴み、顎目掛けて膝で蹴り上げた。
その一部始終を見ていた周囲の奴らがカノトの戦いっぷりを見て再び驚愕している。
「東卍にあんなヤベー奴がいるなんて聞いてねーぞ!!」
「オレらのパンチが全部ギリギリで躱されるってどんな反射神経の持ち主だよ!?」
「恐るべし東卍の“秘密兵器”…!!」
「(なんか変な命名つけられてる!?)」
アワアワと戸惑っていると、車の上にいるマイキーと一虎を見つける。
「(あそこまで行くのに敵が多すぎる!!)」
どこを見渡しても人人人。近くにいるはずの二人の居場所が遠くに思えた。
「(東卍150人に芭流覇羅300人…。しかも相手の方が歳も上でパワーも違う。)」
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