第9章 東卍vs.芭流覇羅
「東卍が勝利した暁には場地を返してもらう。それだけだ!!」
「は?場地は自分でウチに来たんだぞ?返すも何もねーだろーが!!」
「場地を返してもらう!!それだけだ!!」
「テメー…上等じゃねーかよ」
ドラケンの態度と言葉に苛立ちを募らせた一虎が、スッと手を上げ、殴ろうとしたところで、阪泉が止めに入る。
「オイ、ここで争う気かー?」
ゴッ
二人の間に割って入った阪泉を一虎は殴ってしまう。鈍い音を響かせ、顔を殴っただけじゃ気が済まないのか、続けて腹部にも思い切りパンチを食らわす。
ドサッと阪泉は気絶した。
「ヌリィ〜〜なぁ…」
笑った一虎の鈴のピアスがリンと揺れる。
「仕切り?条件?テメーらママゴトしに来たのか?芭流覇羅(オレら)は東卍(テメーら)を嬲り殺しに来たんだよ!!」
愉快そうにニヤリと笑み、顔はこちらに向けたまま、一虎は背を向け両手を広げた。
「おっぱじめるか!?マイキー!!」
半間の愉しげに叫ぶ。
「行くぞ東卍!!!!」
両チームが同時に走り出し、乱戦が起こる。人混みでタケミチと離れ離れになってしまったカノトの前にも芭流覇羅の男が二人立ち塞がった。
「よぉチビちゃ〜ん。大人しく殴られろや」
「つーかコイツ、女みたいな顔してねぇ?」
「(女だからね。)」
「明らかにモテそーな顔してンな。ムカつくからその顔ボコってやるよ」
「貴方達は顔面偏差値0ですね」
「あン?」
「そりゃモテないわ」
馬鹿にしたように笑うカノトに男達はピキッと青筋を立てる。
「上等だ!!テメーはぶっ飛ばす…!!」
拳を振りかざしながら向かってくる男にカノトは呆れた顔を浮かべた。
「……───“天誅”。」
「!?」
目の前で振り下ろされた拳を顔面に当る寸前で首を横に傾けて躱し、突き出された男の腕を両手で掴むと、体を反転させ、勢いをつけてそのまま背負い投げた。
「いっ……!?」
驚く男の体がぐるんと一回転し、勢い良く地面に背中から叩きつけられる。男は痛みで悶えたまま、動くことができない。それを見ていた周囲の奴らもカノトの強さを目の当たりにして驚いた顔を浮かべていた。
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