第9章 東卍vs.芭流覇羅
その日の夜、武蔵野神社では明日の芭流覇羅との抗争に備えて集会が行われていた。
「オレは場地(ダチ)とは戦えねぇ」
本音を伝えたマイキーの言葉にカノトは嬉しそうに笑う。
“だから力を貸してくれ”と頼み込んだ総長の言葉にメンバー達は拳を高々に突き上げ、神社は歓声に包まれた。
そして決戦当日────。
「主役共のぉ!!!登場だぁ!!!」
東卍と芭流覇羅の戦いを見物しようと多くのギャラリー達が集まる。一声かければ百人以上が集まる六本木のカリスマ“灰谷兄弟”もいた。
「(これみんな東卍と芭流覇羅の戦いを見届ける為に集まったんだ…)」
ぐるりと周囲を見渡してもざっと100人以上はいる。改めて今回の抗争がどれほど注目を浴びているのか実感した。
「(芭流覇羅に勝って場地さんを東卍に連れ戻す。それでミッションを成功させて、未来を変える。)」
“仕切り”を任されている阪泉の合図で、東卍と芭流覇羅のメンバー達が旗を掲げ、入場する。
「東京卍會!!芭流覇羅!!」
カノトもタケミチと千冬の後に続く。
「カノちゃん」
隣で歩くタケミチが小さい声で心配そうにカノトの名前を呼んだ。
「今回はオマエも応戦しねェとマジで危ねぇかも知れねェ。だから…やべェと思ったら構わず“天誅”しろよ」
「ヤバいのは此処に着いた時から感じてるよ。タケミチくんも危険だと思ったら無理せず回避しなよ。でも…逃げるばかりじゃダメだよ」
「!」
「戦わないと、何も守れない」
タケミチに視線を遣らず、真剣な顔で言う。
するとマイキーの登場でギャラリー達がザワつき始める。“無敵”で喧嘩は天下一品。誰しもがマイキーに注目した。
「両チームの代表者、前に!!」
東卍からはドラケンが。芭流覇羅からは一虎が代表者として前に出た。
「(羽宮くん…)」
あの時の事を思い出し、胸の前に添えた掌をギュッと握る。
「腕に自信ある奴、5対5のタイマン。それとも全員で乱戦…どっちにするぅ?」
「芭流覇羅の売ってきた喧嘩だ。そっちが決めろや一虎」
「あん?」
「オレらの条件は一つ!場地圭介の奪還!」
その言葉に一虎はピクッと反応を示す。
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