第8章 寂しがりな君に贈るキス
「…こんな感じの声、ですけど…」
「なにその声…。すげェ可愛くて腰にクる」
「な、何言って…」
「一回だけ…深いちゅーしていい?」
「え?」
「あー、て口開けて…」
“深いちゅーとは??”と疑問に思う暇もなく、ただマイキーの言葉に従い、“あー…”っと口を開いた。
「(何されるんだろ…?)」
口を開いて待っているとマイキーが顔を近付け、唇を重ねる。
「!」
普通の…キス?
ちゅっといつもの優しいキスをされ、身構えていた力を少し抜いた時…
「んっ!?」
マイキーの舌が歯列を割って、カノトの舌と絡ませてくる。突然の事に驚き、顔を後ろに引こうとすれば、伸びてきた手に後頭部をガッシリ押さえられ、逃げることができなくなった。
「はっ…んっ…んんぅっ!」
混乱する頭で舌を引っ込めようと奥に隠すが、まるで逃がさないというようにマイキーの舌が追い、くちゅくちゅと音を立てる。
「ふっ…あ…んん…っ」
苦しくなりマイキーの胸を押そうとするが力が入らず、服をギュッと掴む。
「ん…くる、し…ふぁ…は、んん…!」
「…涙、出てきてる。んっ…はぁ…」
「やっ…もうやめ…ん、んぅ…っ」
「カノ…」
キスをしている時のマイキーの顔が欲情に満ちていてぞくぞくと身を震わせた。
「ぷはっ…」
マイキーの顔が離れると、名残惜しそうに二人の唇に唾液が糸を引いている。カノトは真っ赤になった顔でマイキーに抱きついた。
「!」
「…マイキーくんのばか。」
悪態を吐くカノトだが、それが照れ隠しだと知っているマイキーは、ふと笑い、ギュッと抱き締め返す。
「その言い方も可愛い。カノの口の中あったかくて気持ちよかったから止まんなくなっちゃった♥」
「マジふざけんなです。」
「口悪〜」
マイキーは可笑しそうに笑う。
「顔見せて」
「やです…」
「ダメ。オレが見たい。見せて」
肩口に埋めていた顔を上げ、体を少し離す。真っ赤になった顔でマイキーを見つめると愛おしげに見つめ返してくる。
「オレとすんのやだった?」
「…やじゃ、なかった…です」
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