第8章 寂しがりな君に贈るキス
「オマエが喧嘩したらタケミっちの次にやられそうなのに?」
「ドラケンくんと同じ事言わないでください…。本当は内緒にするつもりだったんですけど…実は“回し蹴り”と“背負い投げ”と“猫騙し”が得意なんです」
「は?猫騙し?」
話すつもりはなかったが、あまりにもマイキーが心配するのでカノトは3.8抗争の時、キヨマサ一派を撃退した事を話した。
「……という事なんです。だから一応自分の身は守れるので心配はいらな…」
「ぷっ…くくっ」
「?マイキーくん?」
「ははっ!カノおもしれー!」
「(えぇ?何故か爆笑されたんだけど…)」
「男相手に一人で挑むとか怖いもの知らずかよ!しかも回し蹴りで相手を吹っ飛ばして?背負い投げで自分より遥かにデケー奴をノして?最後は向かってくる奴に猫騙しで気絶させるとか最高過ぎて笑えてくんだけど…ははっ!」
マイキーはお腹を抱えて爆笑した。
「つーか猫騙しって…くくくっ」
「マイキーくん笑いすぎです」
「ごめんごめん。でもホントすごいなカノ。ますます好きになった♪」
「っ!」
「そっか…オマエは守られるだけの女じゃねーんだもんな。ちゃんと自分の強さを理解した上で、参加したいって言ったんだもんな」
「マイキーくん…」
「仕方ないから参加は認める。」
「!」
「けど!半間には絶対に近づくな。アイツはオマエが目に入るとそれしか興味を持たねぇ。やばそうだったらすぐ逃げろ。それかオレの名前を大声で叫べ。飛んでくから」
「わかりました」
「あと自分から傷付きに行こうとすんな。オマエが傷付けられたらオレがそいつを殺す。まぁオマエに傷があってもオレはそれごと全部愛すから問題ねェけど」
「…サラッと恐ろしい事と恥ずかしい事を混ぜて言わないでください」
「それと…」
「まだあるんですか?」
「これが一番重要」
「?」
「絶対にオレの前からいなくなるな」
目を見開いてマイキーを見る。彼は真剣な表情と少し怖い目でカノトを見つめている。
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