第8章 寂しがりな君に贈るキス
「マイキーくんが闇堕ちしたもう一つの理由は私だって言ってた。私が羽宮くんとの条件を呑んでマイキーくんの傍から離れたせいで、彼の怒りは更に膨れ上がって、羽宮くんを殺してしまった…」
「カノちゃん…」
「私も憶えてないのに…何故かその時の光景が浮かんだの。羽宮くんが私にどんな条件を出したのかは分からない。でも…私が羽宮くんの傍にいる事を選んだ時のマイキーくんの悲しそうな顔が…忘れられないっ」
カノも泣き出し、顔を両手で覆う。
「一緒にマイキー君を助けようカノちゃん!!」
「!」
「オレ達なら必ず未来を変えれる!そうすればマイキー君が一虎君を殺す事も、一虎君が場地君を殺す事も、カノちゃんがマイキー君の傍を離れる事もなくなるかもしれないだろ!」
「タケミチくん…」
「ここで立ち止まるなよ勇者様!冒険の終わりにはまだ早ェぞ!!」
励ますようにニッと笑うタケミチの前向きさにカノも涙を止め、前に進むための勇気をくれたタケミチに笑いかける。
「うん…!」
✤ ✤ ✤
「“血のハロウィン”抗争は東卍の敗北に終わった。それは佐野万次郎が羽宮一虎を殺害したのが原因。しかもそれは稀咲が仕組んだ」
「マイキー君が一虎君を殺したのはマイキー君の親友である…場地君を一虎君が殺してしまい、そして抗争を止める為に一虎君が出した条件を呑んだカノちゃんがマイキー君の傍を離れてしまったからだ!!」
「……………」
「だったら場地君を助ける!!そうすればマイキー君は過ちを犯さない!」
「そして稀咲の思惑も阻止できる!!」
「私は羽宮くんを説得する!!」
「!カノちゃん…」
「ごめんタケミチくん。私は場地さんもマイキーくんも助けたいと思ってる。でも…ずっと憎しみの連鎖に囚われ続けている羽宮くんの心も救ってあげたい。きっと彼は間違った道に進んでいる事にすら気付けていない。だからそれを正す人がいないと、羽宮くんはこの抗争で大事なものを失ってしまうと思うの」
「…そっか。うん、オレはいいと思う。オマエのやりたいようにマイキー君と一虎君を救ってやれ!」
「ありがとう」
やっぱり持つべきものは友だと感謝した。
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