第8章 寂しがりな君に贈るキス
「ああ。そして長内を捨てた稀咲が次の“刀”を手に入れたのが…」
「半間修二だ」
「っ………!!」
半間の名前を聞き、息を呑む。
『なら勇者チャンがオレを選んでくれるように、勇者チャンの大事にしてるモン全部、壊す事にするわ』
「……………」
「カノト?どうかしたか?」
「う、ううん…なんでもない」
ぎこちなくへらっと笑って誤魔化した。
「芭流覇羅のトップが不在だってさっき話したよな?」
「うん」
「あれで一つ分かったんだ」
「え?」
「トップ不在の謎多きチーム。ついた異名が“首のない天使”。誰も知らないトップ…それは稀咲哲太だ」
「!?」
「今稀咲は東卍にいる。だから玉座は空席なんだよ」
「(稀咲が芭流覇羅のトップ…!?)」
なら稀咲はなんで東卍に?
なんで芭流覇羅と決闘を?
稀咲は何がしたいの!?
わからない事が多すぎる
「……………」
こうなったら…
千冬に気付かれないようにチラリとタケミチを見ると目が合う。
カノトの考えている事と自分の考えている事が同じだと分かったのか、二人はアイコンタクトを交わし、頷いた。
✤ ✤ ✤
2017年───現代。
「悪いなナオト、また無理言って」
「…慣れましたよ。いつもの事です」
現代に戻った二人はナオトに頼み込み、再び留置所を訪れた。
「また来たのか、タケミっち、カノ」
「何度も押しかけてごめんなさい、ドラケンくん」
「東京から出ろと言ったろ?」
「一つだけ訊きたくて。2005年当時、総長不明の暴走族…芭流覇羅を覚えてますよね?」
「その総長(トップ)は…稀咲鉄太なんですか?」
「いや違う」
「え?」
「“首のない天使-バルハラ-”の首(トップ)はマイキーだ」
「……え!?」
「マイキーくんが芭流覇羅のトップ…!?」
「芭流覇羅はマイキーの為に作られたチームだ」
ドラケンの口から告げられた真実に二人は驚いた顔を浮かべた。
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