第8章 寂しがりな君に贈るキス
「少年院に入ってた事は本人から聞いた。でも…捕まった理由は分からなくて…。まさか…マイキーくんのお兄さんを殺していたなんて…」
信じられなくてショックな顔を浮かべる。
「(あの時羽宮くんが言ってた“アイツ”って…マイキーくんのことだったんだ。)」
「場地さんがオレをボコッて芭流覇羅に入ったのは稀咲を探る為なんだ」
「稀咲?」
「稀咲は芭流覇羅と繋がってる」
「そうなの?」
「多分ね。場地さんが芭流覇羅内部から調べるならオレなりに外部から稀咲を調べてぇ。そこでタケミっちに協力を頼んだ」
「でも松野君…」
「千冬でいいよ。オレもカノって呼ぶし」
「じゃあ…千冬くん。その怪我、場地さんにやられたのにどうしてそこまで信頼できるの?それに稀咲の事を探ってるって…場地さん本人から聞いたの?」
「あ?言ってねぇよ?でもわかるんだ。あの人の考えてる事はさ、ずっとそばで見てきたからな」
「!」
「オレのやりてぇ事はシンプルだ。場地さんの力になりてぇ。だから聞かせてくれカノ。オマエは何でタケミっちに協力してる?」
「それは…不良とは無縁の奴なのにって事?」
「どう見ても関わりなさそうだろ」
場地と似たようなことを言っている千冬に可笑しくなり、そして切なげに目を細める。
「…千冬くんの理由とは少し違うけど…僕にも“やるべき事”がある。その為に僕はタケミチくんが東卍のトップになれるよう手助けをしてるんだ」
「やるべき事…?」
「ま、それは気にせず、千冬くんのやりたい事に協力するよ。だから一緒にタケミチくんを東卍のトップにしよう!」
カノトは手を差し出す。
「おう!」
千冬も握手を交わした。
「それで…外部から調べるって具体的にはどうするの?」
「ここに来る前、千冬と一緒に長内に会って稀咲の事を聞いてきたんだ」
「(長内に!?)」
タケミチと千冬は長内から聞いた話をカノトにも話した。
「じゃあ…8.3抗争での稀咲の目的は抗争に乗じてドラケンくんを殺し…空いた東卍のNo.2の座に座る事だったの?」
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