第7章 秘密、バレちゃいました。
「…女だってバレたのは仕方ないです。でもああいう迫り方は好きじゃありません」
「…うん、ごめん」
「もういいですから離してください」
「離したらオマエ帰るじゃん…」
「そろそろ服が乾いた頃だと思うので」
「やだ…帰んないで」
「…帰らないですから離してください」
「オレの傍にいてくれる?」
「はい」
「…オマエに酷い事したの、許してくれる?」
「はい」
「ありがとう」
マイキーはホッとした顔で笑う。
「実はさ…オレ、オマエが女なんじゃないかって疑った事あったんだよね」
「え?いつですか?」
「オマエを初めてバイクに乗せた時あっただろ?後ろから抱きしめられて何か背中に柔らかいものが当たってるなーて思ったんだ。あれってさー…やっぱりおっ…」
「わああ!何を口走ろうとしてるんですか!」
真っ赤になった顔で慌ててマイキーの口を両手で塞ぐ。
「……………」
ぺろっ
「っ………!!?」
押さえていた手を舐められ、バッと手をマイキーの口から離す。すると彼はしたり顔で笑う。
「顔真っ赤。可愛い。」
「っ…………」
「ちゅーしていい?」
「駄目です」
「カノとちゅーしないとオレ死にそう…」
「うさぎじゃないんですから…」
「ね、一回だけ。」
「ん〜…」
「ぎゅって抱きしめながらちゅーしよ。」
「(その顔は反則過ぎる!)」
甘えた目で見てくるマイキーにドキドキが止まらない。
「(まぁ…前みたいに耳に一回だけなら…一回じゃなかったけど。)」
駄目だと断ってもマイキーが諦めない事はもう知っている。両手で抱きしめているこの手も離れないことも知っている。
「じゃあ…一回だけですよ?」
「やった」
「ま、前みたいに何回もはダメですからね!?本当に一回だけですよ…?」
「うん、一回だけ…ね。分かってる分かってる」
「(…絶対分かってない気がする。)」
不安になりつつも、にこにこと嬉しそうな顔をしているマイキーの“我儘”を受け入れた。
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