第1章 タイムリープ
女子達に睨まれ、その存在感に男子生徒は情けない声が出てしまった。
「な、なんだよ…!」
「ふん…どうせアンタは心叶都君がモテるから僻んでるんでしょ」
「やだよねぇ〜僻む男は」
「最初から勝ち目なんてないのにね」
「「ねー!」」
「う、うぐ…」
「ちょっとみんな。そういう言い方は…」
「だ、誰が僻んでるって!?べ、別に宮村が羨ましいとか思ってねーし!!お、俺だってソイツの友達だし!お前ら女子共とは付き合いが長いんだよ!!」
「「何ですって…?」」
「ひぃっ!?怖ぇ…女子怖ぇ!!じゃあな宮村!!俺は退散する…!!」
「(凄い速さで逃げ去って行った…)」
「ねぇ宮村くん!さっきの話の続きだけど…」
「ごめん。今日は用事があるんだ」
「えー?それって大事な用なの?」
「うん、ごめんね」
適当に女子達の誘いを断り、放課後、喧嘩賭博が行われる場所へと向かった。
✤ ✤ ✤
「ハーイ、お集まりのみなさーん。本日の対戦カードはメールで送ったとーり!!」
「(これが喧嘩賭博…。それにしてもギャラリーが全員不良って…)」
「桜中の小島!!」
「うぇーい」
「“うぇーい”じゃねーよボケ!!」
「チョーシこいてんじゃねーぞハゲ!負けたらパンイチで踊れよ!」
「(誰が得すんのそれ。)」
「そして溝中の山本だぁ!!」
「死んでこいロンゲ!!」
「ビビってんじゃねーぞコラ!!」
「(あれ?彼は確かタケミチくんの…)」
「オッズは4対6で小島やや有利!」
「気合い入れろや山本ぉお!!」
「テメーに500円賭けてんだぞコラ!!負けたら破産じゃボケ!!」
「(500円で破産って…)」
ギャラリー達の熱気は更に盛り上がる。
「(ああもう、うるさい!)」
その騒がしさに顔をしかめた。
「おーし来い!!!三枚におろしてやんよ!!」
「!」
山本の様子を見たカノトは気づいた。
「(少し呼吸が荒い?顔色も悪いし…もしかして身体が弱いんじゃ?)」
辺りがシンと静まり返る。そして全員が煙草を吸っている男を見た。
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