第7章 秘密、バレちゃいました。
《なぁ…会いに来てよカノ。オマエ不足でオレ死にそうなの…。ぎゅってしたい。》
「…そういう誘い方はズルいです。僕が断れないの知っててワザと言ってますね?」
呆れて溜息を吐けば、電話の向こうでマイキーが笑った気がした。
「住所、教えてください」
マイキーから教えてもらった住所に着くと、一軒の家があった。
「ここがマイキーくんの家…」
インターホンを鳴らすと扉がガラッと開いた。パーカー姿のマイキーが嬉しそうに出迎える。
「めっちゃずぶ濡れじゃん」
「中々乾かないものですね…」
「水も滴るいい男♥」
「何言ってるんですかもう…」
「とりあえずタオルで髪拭いて」
「ありがとうございます」
受け取ったタオルでペタッとなっている髪をタオルで挟み、軽くパンパンッと拭う。
「風呂沸いてるからそのまま行っていいよ。服は適当に置いといたから。シャワーの使い方わかんなかったら聞いて」
「はい」
「ちゃんと肩まであったまれよ」
そう言ってマイキーは脱衣所を出た。
「ふぅ…さて、どうするか。服はマイキーくんのを借りるとして…サラシは濡れてて使い物にならないし…やっぱり予備を持ち歩くんだった」
とりあえず風邪を引く前に湯船に浸かる事にした。芯まで温まり、にへぇっと顔が緩む。なんとも締りのない顔だ。鼻歌でも歌いたい気分だがここは自分の家ではない。マイキーに聞かれていたらと思うと恥ずかしくなる。
「あ、シャンプー…二種類ある。花の匂いがするんだ。でも明らかに女の子が使うシャンプーだよね…?」
容器もピンクで花の絵が描かれている。もう一つは普通のシャンプーだ。
「(お母さんが使ってるのかな?)」
深く考えず、普通のシャンプーとリンスで頭を洗い、体も洗った。
「さて…問題はこっからだ」
ショーツは奇跡的に濡れなかったが、女を隠す為のサラシは使えなくなった為、どうしたものかと頭を悩ませた。
「幸いマイキーくんの服がぶかぶかだから誤魔化しきれるとは思うけど…あんまり近づかれるとバレるかも…」
元は女の体な為、男の服を着るといくら男装していてもぶかぶかに見えてしまう。
「…自信ないなぁ」
溜息を吐き、脱衣所を出た。
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