第7章 秘密、バレちゃいました。
「は、羽宮くん…!?」
「声デケー」
一虎はふはっと可笑しそうに吹き出す。
「思い出してくれなかったらオレ完全に変な奴じゃん」
「いつの間に!?というより髪!!変わってる!!」
「あー昔はリーゼントだったからな」
「だから思い出せなかったんだ…」
一虎と初めて会った時、彼はまだ中一で、頭もリーゼントだった。それが久々に再会して見れば、顔つきも美形に整い、身長も伸びていた。
「何でここに?」
「カノトに会いたくて来ちゃった」
少し首を横に傾けると耳に付いた鈴のピアスがリンと鳴り、揺れた。
「来ちゃったって…羽宮くん、ウチの学校の先輩だったの?」
「うん」
「し、知らなかった…」
「知らなくて当然でしょ。オレ、1年の一学期しか学校来てねーし。オマエと会ってたのもいつも外だったじゃん」
「(確か…羽宮くんと会う時はいつも学校以外だったっけ。)」
「つーかカノト、久しぶりに会えたんだからもっと喜べよ。感動の再会ねーじゃん」
「ずっと音信不通だった人が突然目の前にケロッとした顔で現れただけでも驚いてるのにそれを超えて喜べって言う方が無理だよ」
「めっちゃ集中してたもんな。オレが教室入って来た事も、椅子に座ってオマエの事ずっと見てた事にも気づいてなかったみたいだしさ」
「…いたなら声かけてよ」
「オマエが相変わらず綺麗な顔してっから思わず見惚れてた」
リンと鈴のピアスが揺れる。
「な、何言ってるのもう…」
その言葉にどう返事を返したらいいか分からず、視線を彷徨わせていると一虎が可笑しそうに笑う。
「オマエに会いに来て良かった」
「会うのも久しぶりだもんね。最後に会ったのっていつだっけ?」
「んー…中一の夏くらい?」
「そっか、もうそんなに経つんだ。羽宮くんが急にいなくなったのって…確か真夏なのに肌寒い日だったよね?」
「…そうだっけ。忘れた」
一虎はその話題を避けるように素っ気なく答える。
「その次の日だったかな。一緒にアイス食べに行こうって約束してたのに、待ち合わせ場所に来ないから心配したんだよ?」
「もしかしてずっと待ってた…?」
「うん」
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