第6章 幸せは一瞬で終わりを告げ
2005年───過去。
「あれ…?」
気付くと自分の部屋にいた。机の上には広げられた教科書とノート。どうやら予習をしている最中にタイムリープしたようだ。
「勉強中だったのか…」
身体をほぐすように両腕で頭より上に上げ、ぐぐっと伸びをする。
「あ、メールがきてる」
パカッと開き、確認した。どうやら今送られてきたようで相手はタケミチからだった。
【至急○○近くの銭湯に集合せよ!!】
指令のようなメール文を受け取り、カノトは壁に掛かってあった薄手のロングカーディガンを羽織り、慌てて家を出た。
少し息を切らしながら指定された銭湯に到着するとタケミチの他にマイキー達もいた。どうやら銭湯で一風呂浴びてきたようだ。
「あれ?カノじゃん」
「こ、こんばんは…!」
「どーした?オマエも風呂入りに来たのか?」
「えっと…タケミチくんに誘われて」
「タケミっちに?」
「そ、そーなんスよ!オレが誘いました!でも一足遅かったなカノト!もう先に上がっちまったよ!」
「(なるほど…“銭湯に誘ったけど私が来るのが遅れたから先に入ったよ作戦”で誤魔化すつもりだね!)」
「ふぅん…」
「…マイキーくん?」
何故かマイキーの機嫌が悪い気がする。
「オレが銭湯に誘った時は勉強で忙しいからって断ったのに、タケミっちの誘いには勉強放り出して来るんだな」
「え?」
タケミチくんより先に
マイキーくんに誘われてたのか
「あー…別にマイキーくんに誘われたから行かなかったんじゃないんですよ?ちょうど勉強が一段落した所にタケミチくんから連絡が来たので…」
「……………」
不貞腐れたようにマイキーはふいっと顔を逸らした。
「(えぇ…)」
「こいつ“カノにフラれた…!”ってすげーショックな顔して、そっから機嫌悪ぃんだよ」
「指鉄砲でタケミっちに八つ当たりしてたしな」
「至近距離での指鉄砲はヒデーっスよ…」
三ツ谷に指を指され、ドラケンにも笑われ、落ち込むタケミチに同情するカノト。
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