第6章 幸せは一瞬で終わりを告げ
「稀咲鉄太。現・東京卍會の最重要人物の一人にして“総長代理”。おそらく彼が姉を“殺し続けて”いる張本人。我々警察も総力をあげて捜索していますが尻尾さえ摑めて居ません」
「警察でも見つけ出せないなんて…」
「過去でもまだ一度も会えてない。ぶっ倒そうにも手がかりゼロか」
「そうでもないんじゃないかな」
「え?」
「やる事はもう決まってるでしょ?」
笑うカノの言葉の意味に気付いたタケミチはナオトを見る。
「ナオト…やっぱりもう道は一つしかないよ!」
「え?」
「オレが東卍のトップになる」
「そして私がその手助けをする」
「あれ本気だったんですか…?ボクを励ましただけかと…」
「だってそうだろ!?」
タケミチは立ち上がる。
「オレが東卍のトップになれば稀咲も止められるし、ドラケンもマイキーもヒナもマドカさんも…皆守れるじゃん!」
「タケミチくん…」
「今までのやり方じゃダメなんだよ。根っこを叩く!!」
「具体的にはどうするの?」
「考えてみたんだ。まずは“隊長”になる。パーちん君が抜けた今、参番隊の隊長枠が空いてるんだ。そこを狙う!」
「メチャクチャな案ですね」
「でもナオト、オレは魔法が使えるってワケじゃないんだ。これくらいしかないと思うんだ」
「大丈夫。私が君の近くにいるよ。お互いに助け合って今回も無事に乗り切ろう」
「こういう時ダチっていいよな。いつもだけど、頼りにしてるぜ!勇者様!」
「任せとけ!ヒーロー!」
「…分かりました。タケミチ君とカノさんはなんだかんだで、これまでミッションを成功させてきましたし」
ナオトは立ち上がる。
「信じます」
ナオトの言葉に二人は頷く。
「今回は長旅になりそうですね」
「ああ」
「うん」
差し出された手をタケミチはガシッと握る。
チリン──……
鈴の音が頭の中で聞こえ、カノも意識を手放した。
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