第6章 幸せは一瞬で終わりを告げ
2017年───10月20日
「音沙汰ねぇからどうしたのかと思ってたよ」
「ねぇナオトくん…ここ拘置所だよね?」
「こんな所に何の用?」
ナオトに連れられやって来たのは何処かの拘置所だった。カノは念の為、男装をしてタケミチと共に面会室に通される。
「調べたんですが…今の東卍に龍宮寺堅は存在していませんでした。かといって死亡した記録もない。…捜してもいないワケです」
開いた扉から一人の男が現れる。
「龍宮寺堅は今、死刑囚なんです」
辮髪だった頃のドラケンはおらず、罪を犯して収容されている丸坊主のドラケンがいた。
「久しぶりだな“タケミっち”“カノ”」
二人は驚いてドラケンを見る。
「無事でよかった」
その両手は手錠で拘束されていた。けれどそんなのは気にも留めず、二人はドラケンを見た途端、目に涙を浮かべ、唇を結んだ。
「…ドラケン君っ」
「ドラケンくん…」
「初めまして、橘直人です」
「コイツのおかげで面会できたんです」
「………、そっか。で、用は?」
「オレ…知らなくて。ドラケン君が殺人を犯して死刑囚だって…」
「何があったんですか?なんでドラケンくんが殺人なんか…」
「東卍はどうなっちまったんですか?」
「……タケミっち、カノ。オレは自分のした事を後悔してねぇ。ここにいるのも当然の報いだ」
緊張した面持ちでドラケンの話を聞く。
「東卍がこんな事になっちまったのも…オレのせいだ。オレが“アイツ”を止められなかったから」
「…“アイツ”?」
「…東卍か…。ガキの頃はよかったな。ただチームをでかくするって突っ走ってよ。喧嘩喧嘩で毎日が祭りみてぇで──東卍はオレの全てだった」
それを聞き、口許に笑みを湛える。
「もう一回、人生やり直してもオレは同じ生き方を選ぶ。後悔はねぇ」
「(やっぱりドラケン君はドラケン君だ。変わってない。)」
「(東卍に対する想いも変わらない。)」
二人は顔を見合わせて笑みを浮かべる。
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