第6章 幸せは一瞬で終わりを告げ
「知らない!!貴方の目的は何!?」
恐怖に震え、涙目で半間をキッと睨む。
「泣き顔も可愛いなァ」
「ふざけないで!!」
顎を掴んでいる半間の腕を掴み、叫ぶ。
「目的ねェ。そんなの決まってンだろぉ」
「……………」
「勇者チャンをオレのものにする」
「どうして…私なの?」
「勇者チャンとの出会いがオレを変えた。勇者チャンの存在がオレの支えだ。だから…アイツよりオレを選べ」
狂気と執着を孕んだ目でこちらを見る半間にカノは恐怖で声が出ない。強ばる顔でゆっくりと首を横に振った。
「貴方を…選ぶことは…できない」
やっと振り絞ったか細い声。
「それはマイキーが忘れられないからか?」
「え?マイキーくん…?」
「あの男の何がいいんだよ?オレと何が違う?どうしたら勇者チャンはオレに振り向いてくれる?」
「……………」
「答えねェか…」
半間はじっとカノを見つめた後、張り付けた笑みでにこり…と笑んだ。
「なら勇者チャンがオレを選んでくれるように、勇者チャンの大事にしてるモン全部、壊す事にするわ」
「え……?」
「そうすりゃ勇者チャンには何も残らない。全て失くした勇者チャンはオレに縋るしかなくなる。最高だろ?」
「っ…………!!」
狂ってる…!!
「手始めに邪魔者を消す事にした。だから早くオレのものになってくれよ、勇者チャン!!」
「邪魔者…?」
卑しい顔で高笑う半間。その声を耳障りだと感じながらカノは驚いた顔をする。
「(さっき半間は自販機の方を見てた。)」
『手始めに邪魔者を消す事にした。』
「っ………?」
嫌な予感がした。
「まさか…」
半間の言った意味を理解し、段々と顔が青ざめていくのがわかる。
「っ────兄さん!!」
強くドンッと半間を突き飛ばし、慌ててマドカを探しに走った。その場に残された半間は走り去るカノを見つめ、視線を外してこう呟いた。
「どんな手を使ってでも必ずオレのものにする。だから早くオレの元まで堕ちて来いよ…勇者チャン」
狂気じみた顔でニタァ…と笑い、半間はその場を立ち去った。
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