第62章 これからも家族3人で幸せに(❤︎)
目を閉じれば思い出す。過去のタケミチが全てを救うために必死に闘ってきた姿を。今の幸せな光景は、それらを経て手にした幸せだ。
「誓のキスを」
牧師の言葉を受け、ヒナの顔を覆っていたベールを上げ、二人はキスを交わす。
「おめでとうタケミっち!!!」
「みんな!ありがとう!」
一斉に駆け寄る一同にタケミチは幸せそうな顔で応える。それからブーケトスを行うため、全員は式場の外へと移動した。
「……………」
「万次郎くん?どうしました?」
「いや…何でもねぇよ」
「?」
先程とは様子の違うマイキーにカノは首を傾げる。
「あ!始まりますよ!」
目を瞑ったマイキーは、緊張している心を落ち着かせるため、深呼吸をする。
「誰が受け取るんでしょうね!」
後ろを向いたヒナが花束のブーケを宙に向けて投げる──かと思えば、くるっとこちらを振り返り、カノの方に向かって歩いて来る。
「ヒナちゃん?」
「はい」
綺麗な花束のブーケを差し出され、一瞬意味を理解できなくて困った顔を浮かべる。
「えっと…私に?」
「おめでとう」
「え?」
「──カノ。」
笑顔で差し出されたブーケを受け取ると、後ろから名前を呼ばれ、振り返る。
「!」
そこには跪いたマイキーが、柔らかな表情でカノを見上げていた。突然の行動に驚いて目を見張っていると、マイキーは口を開く。
「オレはこの先もオマエを泣かせることも、傷付けちまうこともあると思う。でも何があっても絶対にオマエを守るし、独りにはさせねえ」
「……………」
「たまに素っ気ないけどすげぇ優しいところも、オレより心が強いところも、何があっても簡単には諦めねぇところも、全部ひっくるめて好きだ」
「万次郎くん…?」
「オマエのいない人生なんて考えたくねえし、これからもずっとオレの傍にいてくれるって信じてる。カノ、オマエはオレの帰る場所で、オレが唯一失うと怖いモンだ」
マイキーの言葉をみんなは静かに聞いている。
「それくらい大事で大切なんだ。オマエをもう二度と手放さないって誓うよ。だから…この先の未来でもずっと二人で幸せに生きていこう」
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